戦国策 / 楚王后死
楚王后死,未立后也。謂昭魚曰:「公何以不請立后也?」昭魚曰:「王不聽,是知困而交絕於后也。」「然則不買五雙珥,令其一善而獻之王,明日視善珥所在,因請立之。」
新字:楚王后死,未立后也。謂昭魚曰:「公何以不請立后也?」昭魚曰:「王不聴,是知困而交絶於后也。」「然則不買五双珥,令其一善而献之王,明日視善珥所在,因請立之。」
書き下し
楚王の后死す、未だ后を立てざるなり。(或るひと)昭魚に謂いて曰く、「公何を以て后を立てんことを請わざるや。」昭魚曰く、「王聴かずんば、是れ知困しみて交わり后に絶えん。」「然らば則ち五双の珥を買い、其の一を善くせしめて之を王に献じ、明日善き珥の在る所を視て、因りて之を立てんことを請え。」
現代語訳
楚王の王后が亡くなったが、まだ新しい王后は立てられていなかった。(ある人が)昭魚に言った。「あなたはどうして王后を立てるよう(王に)願い出ないのですか。」昭魚は言った。「もし王がそれを聞き入れてくださらなければ、私の知恵が及ばなかったことになり、(推挙した女性との)関係も絶えてしまうことになる。」(その人は言った。)「それならば、五組の耳飾りを買い求め、そのうちの一組だけを特に上等に作らせて王に献上し、翌日、その特に上等な耳飾りを誰が着けているかを見届けたうえで、その女性を王后に立てるよう願い出るのがよいでしょう。」
解説
楚王后の死後、後継の王后をどう決めるかという難題に対し、まだ王の本心が分からないまま特定の女性を推挙すれば、拒絶された場合に自分の面目も失われかねないという昭魚の懸念に応じ、ある人物が巧妙な観察の方法を提案する話です。五組の耳飾りのうち一組だけを特別上質に作って王に献上し、翌日どの女性がそれを身につけているかを見れば、王が実際に誰を最も気に入っているかが分かる、という発想です。直接尋ねるのではなく、贈り物への反応という間接的な手がかりから相手の本心を探る手法は、意思決定者の真意が読めないときに、行動観察によって手がかりを得るという交渉・観察の知恵として今日にも通じるものがあります。
この章句が説くこと
楚王王后昭魚観察人物を見る目
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