戦国策 / 張登請費緤
張登請費緤曰:「請令公子年謂韓王曰:『費緤,西周讎之,東周寶之。此其家萬金,王何不召之,以為三川之守。是緤以三川與西周戒也,必盡其家以事王。西周惡之,必效先王之器以止王。』韓王必為之。西周聞之,必解子之罪,以止子之事。」
新字:張登請費緤曰:「請令公子年謂韓王曰:『費緤,西周讎之,東周宝之。此其家万金,王何不召之,以為三川之守。是緤以三川与西周戒也,必尽其家以事王。西周悪之,必効先王之器以止王。』韓王必為之。西周聞之,必解子之罪,以止子之事。」
書き下し
張登費緤に請いて曰く、「請う公子年をして韓王に謂わしめん、『費緤は、西周之を讎とし、東周之を寶とす。此れ其の家萬金なり、王何ぞ之を召して、以て三川の守と為さざる。是れ緤三川を以て西周を戒めば、必ず其の家を盡くして以て王に事えん。西周之を惡めば、必ず先王の器を效して以て王を止めん』と。韓王必ず之を為さん。西周之を聞かば、必ず子の罪を解きて、以て子の事を止めん。」
現代語訳
張登は費緤に頼んで言った。「公子年に頼んで韓王にこう言わせましょう。『費緤は、西周からは仇敵とみなされていますが、東周からは重宝がられています。彼の一族は万金の財を持っており、王はなぜ彼を召し出して三川の守に任じないのですか。もし費緤が三川の地をもって西周を牽制すれば、彼は必ず一族の全財産を挙げて王にお仕えするでしょう。西周は彼を憎んでいますから、王を思いとどまらせようと先王伝来の宝器を差し出してくるはずです。』韓王は必ずこの提案を実行するでしょう。西周がこれを聞けば、必ずあなたの罪を許し、この一件を収めさせるはずです。」
解説
この章は、西周から敵視されている費緤という人物が、自らの窮地を脱するために、あえて韓王に自分を高い地位(三川の守)に登用させるよう仕向ける策を描いています。狙いは、韓王がその提案を実行すれば西周が危機感を抱いて宝物を差し出してでも阻止しようとするはずで、その動きが韓王に伝われば、逆に西周は費緤の存在を無視できなくなり、結果的に彼への処罰を解くだろうという読みです。自分を脅威として認識させることで、相手(敵視する側)にこちらを無視できない存在として扱わせ、結果的に和解や赦免を引き出すという、弱い立場から強者の注意を引きつけて交渉力を得る戦術が示されています。
この章句が説くこと
費緤張登西周東周登用による交渉力間接戦略
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