戦国策 / 錡宣之教韓王取秦
錡宣之教韓王取秦,曰:「為公叔具車百乘,言之楚,易三川。因令公仲謂秦王曰:『三川之言曰,秦王必取我。韓王之心,不可解矣。王何不試以襄子為質於韓,令韓王知王之不取三川也。』因以出襄子而德太子。」
新字:錡宣之教韓王取秦,曰:「為公叔具車百乗,言之楚,易三川。因令公仲謂秦王曰:『三川之言曰,秦王必取我。韓王之心,不可解矣。王何不試以襄子為質於韓,令韓王知王之不取三川也。』因以出襄子而徳太子。」
書き下し
錡宣、韓王に秦を取るを教えて曰く、「公叔の為に車百乘を具え、之を楚に言い、三川を易えしめよ。因りて公仲をして秦王に謂わしめて曰わく、『三川の言に曰く、秦王必ず我を取らんと。韓王の心、解く可からず。王何ぞ試みに襄子を以て質と為して韓に於てせざる、韓王をして王の三川を取らざるを知らしめよ』と。因りて以て襄子を出だして太子に德せしめよ。」
現代語訳
錡宣が韓王に秦を味方につける策を説いていった。「公叔のために車百台を用意させ、楚にこのことを伝えて三川の地との交換を進めさせなさい。そのうえで公仲に秦王へこう言わせるのです。『三川では「秦王がきっとこの地を奪うつもりだ」という噂が広まっており、韓王の疑念はもはや解けません。王はいっそ試みに襄子を人質として韓に送り、韓王に「秦王は三川を奪う気がない」と分からせてはいかがですか』と。こうして襄子を(秦から)人質に出させ、韓の太子に恩を売らせるのです。」
解説
この章は、韓が秦の不信を解くために、あえて秦の公子を人質に取るという策を巡らせる話です。国家間の疑心暗鬼は言葉だけでは解けず、相手に具体的な担保(人質)を差し出させることで初めて信頼が生まれるという発想が示されています。同時に、この駆け引きを通じて韓の太子に恩を売り、将来の人脈を築こうとする計算も見て取れます。目先の外交問題の解決だけでなく、その過程で次の世代の権力者に貸しを作るという二重の狙いは、単なる問題解決に終わらせず将来への布石も打つという、交渉巧者の思考法として学ぶところがあります。
この章句が説くこと
人質外交信頼構築三川布石
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