戦国策 / 周冣善齊
周冣善齊,翟強善楚。二子者,欲傷張儀於魏。張子聞之,因使其人為見者嗇夫聞見者,因無敢傷張子。
新字:周冣善斉,翟強善楚。二子者,欲傷張儀於魏。張子聞之,因使其人為見者嗇夫聞見者,因無敢傷張子。
書き下し
周冣斉に善くし、翟強楚に善くす。二子者、張儀を魏に傷なわんと欲す。張子之を聞き、因りて其の人をして見者嗇夫と為し見ゆる者を聞かしむ。因りて敢えて張子を傷なう者無し。
現代語訳
周冣は斉と親しく、翟強は楚と親しかった。この二人は、張儀を魏の宮廷で失脚させようと画策していた。張儀はこれを聞きつけると、自分の息のかかった者を王への謁見を取り次ぐ役人に就け、王に見える者たちの言葉を逐一聞き取らせるようにした。そのため、誰も敢えて張儀を陥れるような讒言をすることができなくなった。
解説
周冣・翟強という、それぞれ斉・楚と親しい二人の重臣が、魏で張儀の失脚を狙って画策していた話です。張儀はそれを察知すると、王への取り次ぎ役という要職に自分の息のかかった人物を送り込み、王に謁見する者たちの発言を逐一把握できる体制を作りました。こうして誰の讒言も王に届く前に張儀に筒抜けになるため、結果として誰も安心して彼を陥れる発言をできなくなったのです。政敵の攻撃を正面から迎え撃つのではなく、情報の流れそのものを押さえることで、讒言が力を発揮する前に無力化するという防御策です。現代の組織においても、意思決定者に届く情報の経路や、誰がどんな報告を上げているかを把握しておくことは、根拠のない中傷から自分を守るための有効な手立てになり得ます。ただしこれは同時に、情報統制がもたらす権力の偏りという別の危うさもはらむ手法である点には留意が必要です。
この章句が説くこと
張儀周冣翟強情報統制讒言対策
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