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戦国策 / 楚許魏六城

楚許魏六城,與之伐齊而存燕。張儀欲敗之,謂魏王曰:「齊畏三國之合也,必反燕埊以下楚,楚、趙必聽之,而不與魏六城。是王失謀於楚、趙,而樹怨而於齊、秦也。齊遂伐趙,取乘丘,收侵地,虛、頓丘危。楚破南陽九夷,內沛,許、鄢陵危。王之所得者,新觀也。而道塗宋、衛為制,事敗為趙驅,事成功縣宋、衛。」魏王弗聽也。

新字:楚許魏六城,与之伐斉而存燕。張儀欲敗之,謂魏王曰:「斉畏三国之合也,必反燕埊以下楚,楚、趙必聴之,而不与魏六城。是王失謀於楚、趙,而樹怨而於斉、秦也。斉遂伐趙,取乗丘,収侵地,虚、頓丘危。楚破南陽九夷,內沛,許、鄢陵危。王之所得者,新観也。而道塗宋、衛為制,事敗為趙駆,事成功県宋、衛。」魏王弗聴也。

書き下し

楚魏に六城を許し、之と与に斉を伐ちて燕を存せんとす。張儀之を敗らんと欲し、魏王に謂いて曰わく、「斉三国の合するを畏れ、必ず燕埊を反して以て楚に下らん、楚・趙必ず之を聴きて、魏に六城を与えざらん。是れ王楚・趙に謀を失いて、怨みを斉・秦に樹つるなり。斉遂に趙を伐ちて、乗丘を取り、侵地を収め、虚・頓丘危うし。楚南陽九夷を破り、沛を内(い)れ、許・鄢陵危うし。王の得る所の者は、新観のみ。而して道塗は宋・衛の制と為り、事敗るれば趙の駆と為り、事成れば功宋・衛に県(か)く。」魏王聴かず。

現代語訳

楚は魏に六つの城を与えると約束し、ともに斉を討伐して燕を存続させようとした。張儀はこの計画を失敗させようと考え、魏王にこう言った。「斉は魏・楚・趙の三国が結束することを恐れ、必ず燕の土地を返還して楚に下ることになるでしょう。そうなれば楚・趙は必ずその斉の申し出を聞き入れ、魏に六つの城を与えることはなくなります。これでは王は楚・趙との交渉で謀られたことになり、しかも斉・秦との間には新たな怨みを作ることになります。斉はやがて趙を討伐し、乗丘を奪い、以前に侵略された土地を取り返し、虚・頓丘の地は危うくなるでしょう。楚は南陽の九夷の地を攻め破り、沛の地を併合し、許・鄢陵の地も危うくなるでしょう。王が最終的に得られるのは、新観の地だけです。しかも往来の道筋は宋・衛によって左右されることになり、事が失敗すれば趙のために先兵として使われるだけで、事が成功しても、その功績は宋・衛のものとして数えられてしまうでしょう。」魏王はこの進言を聞き入れなかった。

解説

この一篇は、楚が魏に六城を約束して斉討伐と燕の存続を持ちかけたのに対し、張儀がその計画の破綻を予測して魏王に翻意を促した記事です。張儀は、斉が三国連合を恐れて楚と単独で講和すれば、楚・趙は約束していた六城を魏に与えなくなり、結局魏は骨折り損の上に斉・秦から新たな怨みを買うだけだと具体的な展開予測を示します。さらに、たとえ事が成功しても地の利の上で宋・衛に主導権を握られ、功績まで奪われかねないという構造的な弱点も指摘しています。魏王はこの進言を退けましたが、張儀の分析は、同盟による見返りの約束がいかに流動的で、当事国の思惑一つで簡単に反故にされうるかを示しています。他国からの好条件の提案を鵜呑みにせず、関係国それぞれの利害の変化まで読み込んで検証する姿勢は、現代の契約や提携交渉においても重要な視点です。

この章句が説くこと

戦国策魏一張儀同盟の不確実性

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