戦国策 / 秦韓圍梁燕趙救之
秦、韓圍梁,燕、趙救之。謂山陽君曰:「秦戰而勝三國,秦必過周、韓而有梁。三國而勝秦,三國之力,雖不足以攻秦,足以拔鄭。計者不如構三國攻秦。」
新字:秦、韓囲梁,燕、趙救之。謂山陽君曰:「秦戦而勝三国,秦必過周、韓而有梁。三国而勝秦,三国之力,雖不足以攻秦,足以抜鄭。計者不如構三国攻秦。」
書き下し
秦・韓梁を圍み、燕・趙之を救う。山陽君に謂いて曰く、「秦戰いて三國に勝たば、秦必ず周・韓を過ぎて梁を有たん。三國秦に勝たば、三國の力、秦を攻むるに足らずと雖も、鄭を拔くに足れり。計る者は三國を構えて秦を攻むるに如かず。」
現代語訳
秦と韓が梁(魏)を包囲し、燕と趙がこれを救援した。ある者が山陽君に言った。「秦が戦って三国(燕・趙・魏)に勝てば、秦は必ず周・韓を通り越して梁を領有するでしょう。もし三国が秦に勝てば、三国の力は秦そのものを攻め落とすには足りなくとも、鄭の地を奪い取るには十分でしょう。よく計算する者ならば、三国を結束させて秦を攻めるのが得策です。」
解説
秦・韓に包囲された梁(魏)を燕・趙が救援するという合従(がっしょう)の一場面を描いた短い逸話です。話し手は、秦が勝てば失うものが大きく、逆に三国が勝てば秦を滅ぼせずとも確実な戦果(鄭の地)を得られるという非対称なリスクとリターンを示し、三国が結束して秦を攻めることの合理性を説いています。勝敗の帰結を両にらみで比較し、負けたときの損失と勝ったときの利益を天秤にかけて行動方針を決める、という思考法は現代の意思決定にも通じます。短い文章ながら、戦国時代の合従連衡外交における損得勘定の典型を示す一節といえるでしょう。
この章句が説くこと
合従秦山陽君三国同盟損得計算