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戦国策 / 四國伐楚

四國伐楚,楚令昭雎將以距秦。楚王欲擊秦,昭侯不欲。桓臧為昭雎謂楚王曰:「雎戰勝,三國惡楚之強也,恐秦之變而聽楚也,必深攻楚以勁秦。秦王怒於戰不勝,必悉起而擊楚,是王與秦相罷,而以利三國也。戰不勝秦,秦進兵而攻。不如益昭雎之兵,令之示秦必戰。秦王惡與楚相弊而令天下,秦可以少割而收害也。秦、楚之合,而燕、趙、魏不敢不聽,三國可定也。」

新字:四国伐楚,楚令昭雎将以距秦。楚王欲擊秦,昭侯不欲。桓臧為昭雎謂楚王曰:「雎戦勝,三国悪楚之強也,恐秦之変而聴楚也,必深攻楚以勁秦。秦王怒於戦不勝,必悉起而擊楚,是王与秦相罷,而以利三国也。戦不勝秦,秦進兵而攻。不如益昭雎之兵,令之示秦必戦。秦王悪与楚相弊而令天下,秦可以少割而収害也。秦、楚之合,而燕、趙、魏不敢不聴,三国可定也。」

書き下し

四国楚を伐つ。楚、昭雎をして将として以て秦を距がしむ。楚王秦を撃たんと欲す、昭侯欲せず。桓臧、昭雎の為に楚王に謂いて曰わく、「雎戦い勝たば、三国楚の強きを悪み、秦の変じて楚に聴かんことを恐れ、必ず深く楚を攻めて秦を勁くせん。秦王戦い勝たざるに怒らば、必ず悉く起こりて楚を撃たん、是れ王と秦と相い罷れて、以て三国を利するなり。戦いて秦に勝たざれば、秦兵を進めて攻めん。昭雎の兵を益し、之をして秦に必戦を示さしむるに如かず。秦王楚と相い弊れて天下に令せられんことを悪まん、秦以て少しく割きて害を収むべし。秦・楚の合するや、燕・趙・魏敢えて聴かざる莫く、三国定まるべきなり。」

現代語訳

四か国が楚を攻めた。楚は昭雎を将軍にして秦を防がせた。楚王は秦を攻撃しようとしたが、昭侯はそれを望まなかった。桓臧は昭雎のために楚王にこう言った。「昭雎が戦いに勝てば、(秦に敵対する)三か国は楚の強さを恐れ、秦が態度を変えて楚に靡くのではないかと恐れ、必ず楚をいっそう深く攻めて秦を勢いづけようとするでしょう。秦王が戦いに勝てなかったことに怒れば、必ず全軍を起こして楚を攻撃するでしょう。これでは王と秦とが共に疲弊し、それが三か国の利益になるだけです。戦って秦に勝てなければ、秦は兵を進めて攻めてくるでしょう。ですから昭雎の兵を増強し、必ず戦う構えを秦に見せつけるのがよいでしょう。秦王は楚と共に疲弊して他国に主導権を握られることを嫌うでしょうから、秦は多少の領地を割いてでも損害を収めようとするはずです。秦と楚とが和すれば、燕・趙・魏もあえて逆らわず、三か国の問題は治まるでしょう。」

解説

四か国に攻められた楚で、昭雎の奮戦をめぐり、積極攻勢を望む楚王と慎重な昭侯の間で意見が割れた際、桓臧が「昭雎の兵を増強して秦に本気で戦う構えを見せれば、秦は疲弊を恐れて自ら譲歩する」と説いた話です。実際に戦って勝つことよりも、本気で戦う姿勢を示すことで相手に譲歩を引き出すという、力の誇示による抑止の発想が中心にあります。全面対決を避けつつ交渉力を高めるという発想は、現代の国際関係における抑止力の概念や、ビジネス交渉での強気の構えを見せる戦術とも重なる普遍的な知恵です。

この章句が説くこと

桓臧昭雎抑止

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