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戦国策 / 管燕得罪齊王

管燕得罪齊王,謂其左右曰:「子孰而與我赴諸侯乎?」左右嘿然莫對。管燕連然流涕曰:「悲夫!士何其易得而難用也!」田需對曰:「士三食不得饜,而君鵝鶩有餘食;下宮糅羅紈,曳綺縠,而士不得以為緣。且財者君之所輕,死者士之所重,君不肯以所輕與士,而責士以所重事君,非士易得而難用也。」

新字:管燕得罪斉王,謂其左右曰:「子孰而与我赴諸侯乎?」左右嘿然莫対。管燕連然流涕曰:「悲夫!士何其易得而難用也!」田需対曰:「士三食不得饜,而君鵝鶩有余食;下宮糅羅紈,曳綺縠,而士不得以為縁。且財者君之所軽,死者士之所重,君不肯以所軽与士,而責士以所重事君,非士易得而難用也。」

書き下し

管燕齊王に罪を得て、其の左右に謂ひて曰く、「子孰(たれ)か我と諸侯に赴かんか。」左右嘿然(もくぜん)として對ふる莫し。管燕連然として涕を流して曰く、「悲しいかな、士何ぞ其れ得易くして用ひ難きや。」田需對へて曰く、「士三食にして饜(あ)くを得ざるに、君の鵝鶩(がぼく)は餘食有り。下宮は羅紈を糅(まじ)へ、綺縠を曳くも、士は以て緣と爲すを得ず。且つ財なる者は君の輕んずる所、死なる者は士の重んずる所なり。君輕んずる所を以て士に與へずして、士に重んずる所を以て君に事へしめんことを責む、士の得易くして用ひ難きに非ざるなり。」

現代語訳

管燕が斉王の怒りを買い、罰せられることになった。彼は側近たちに「誰か私と共に諸侯のもとへ逃げてくれる者はいないか」と尋ねた。側近たちは黙り込んで誰も答えなかった。管燕は涙を流して「悲しいことだ。士というものはどうしてこうも得やすくて、いざという時には使いにくいものなのか」と嘆いた。田需が答えて言った。「士は三度の食事さえ満足に取れないのに、あなたの飼う鵞鳥や家鴨には食べきれないほどの餌があります。奥向きの女性たちは薄絹や綾絹をまとっていますが、士たちはその端切れすら得ることができません。そもそも財産というものはあなたが軽んじるもの、命というものは士が最も重んじるものです。あなたが軽んじる財産すら士に分け与えず、それでいて士が最も重んじる命を懸けてあなたに仕えることを求めるのは、士が得やすくて用いにくいというわけではありません。」

解説

危機に陥った管燕は、日頃から従えていたはずの側近たちが誰一人付き従わないことを嘆きますが、田需は逆にその原因を管燕自身の日頃の待遇にあると指摘します。動物や女性には惜しみなく財を与えながら、命懸けで仕えるべき士には粗末な扱いしかしていなかったことが、いざという時に誰も従わない結果を招いたのです。人を動かすのは平時の言葉や地位ではなく、日頃どれだけ相手を大切に扱ってきたかという蓄積であるという指摘は、危機に直面して初めて信頼関係の欠如が露呈するという、リーダーシップの本質を突いた教訓です。

この章句が説くこと

戦国策管燕田需人材信頼処世術

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