戦国策 / 靖郭君謂齊王
靖郭君謂齊王曰:「五官之計,不可不日聽也而數覽。」王曰:「說五而厭之。」今與靖郭君。
新字:靖郭君謂斉王曰:「五官之計,不可不日聴也而数覧。」王曰:「説五而厭之。」今与靖郭君。
書き下し
靖郭君齊王に謂ひて曰く、「五官の計は、日に聽かざるべからざるなり、而して數しば覽よ。」王曰く、「說五にして之に厭く。」今靖郭君に與ふ。
現代語訳
靖郭君が斉王に言った。「五官(五つの役所)の会計報告は、毎日聞かないわけにはいきません。頻繁にご覧になるべきです。」王は「説明が五回にもなると、もう飽きてしまう」と言った。そこでこの職務は靖郭君に任せることになった。
解説
本篇はごく短い逸話で、行政の実務、とりわけ五官(諸官庁)の会計報告を日々点検すべきだと靖郭君が斉王に進言したところ、王がその煩雑さに嫌気を示し、結局この仕事を靖郭君自身に委ねることになった、という話です。原文が簡潔であるため背景の詳細は分かりませんが、君主が実務の細部を厭い、有能な臣下にそれを委ねてしまう場面は、権力の実質がどこに集まっていくかを端的に示しています。靖郭君(田嬰)が斉で長く実権を握り続けた背景には、こうした日々の細かな実務への関与の積み重ねがあったこともうかがえます。現代の組織でも、経営者が煩雑な実務確認を厭って現場責任者に委ねた結果、実質的な権限がそこに集中していくという構図はしばしば見られ、権限委譲の際には何を手放すことになるのかを自覚しておく必要があることを示唆します。
この章句が説くこと
靖郭君五官会計斉王権限委譲
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