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戦国策 / 秦二・宜陽未得

宜陽未得,秦死傷者眾,甘茂欲息兵。左成謂甘茂曰:「公內攻於樗里疾、公孫衍,而外與韓侈為怨,今公用兵無功,公必窮矣。公不如進兵攻宜陽,宜陽拔,則公之功多矣。是樗里疾、公孫衍無事也,秦眾盡怨之深矣。」

新字:宜陽未得,秦死傷者眾,甘茂欲息兵。左成謂甘茂曰:「公內攻於樗里疾、公孫衍,而外与韓侈為怨,今公用兵無功,公必窮矣。公不如進兵攻宜陽,宜陽抜,則公之功多矣。是樗里疾、公孫衍無事也,秦眾尽怨之深矣。」

書き下し

宜陽未だ得ず、秦の死傷者眾く、甘茂兵を息めんと欲す。左成甘茂に謂いて曰わく、「公內は樗里疾・公孫衍に攻められ、外は韓侈と怨みを為す。今公兵を用いて功無くんば、公必ず窮せん。公進みて兵を宜陽に攻むるに如かず。宜陽拔けば、則ち公の功多し。是れ樗里疾・公孫衍の事無きなり。秦の眾盡く之を怨むこと深からん。」

現代語訳

宜陽がまだ陥落しないうちに、秦側の死傷者が多く出たため、甘茂は兵を休めようとした。左成は甘茂に言った。「あなたは国内では樗里疾・公孫衍に攻撃され、国外では韓の公仲侈から恨みを買っています。今ここで兵を用いながら何の功もあげられなければ、あなたは必ず窮地に陥るでしょう。あなたは兵を進めて宜陽を攻め続けるのが得策です。宜陽が陥落すれば、あなたの功績は大きなものになります。そうなれば樗里疾・公孫衍もあなたを攻撃する材料を失いますし、秦の兵士たちもみな心から恨みに思うことなどなくなりましょう。」

解説

戦死者が増え、甘茂が兵を休めようとした局面で、左成が「ここで撤退や休戦を選べば政敵につけ込まれるだけであり、むしろ進んで攻め続けて成果を出すことこそが自らを守る道だ」と説いた場面です。目先の損害の大きさに目を奪われて撤退すれば、戦果を得られないばかりか、国内の政敵に付け入る隙を与えてしまうという、政治と軍事が分かちがたく結びついた当時の宮廷力学がよく表れています。苦しい局面ほど中途半端に手を引くことがかえって最悪の結果を招き、腹を括って最後までやり抜くことが自らの立場を守る最善策になる場合があるという逆説的な教訓です。現代のプロジェクト運営でも、途中で苦戦しているからといって安易に撤退すれば、それまでの投資が無駄になるだけでなく、社内での評価をさらに落とす結果になりかねず、進むか退くかの判断には冷静な見極めが必要であることを示唆しています。

この章句が説くこと

甘茂左成宜陽樗里疾公孫衍

この一句を、あなたの毎日に。

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