戦国策 / 周君之秦
周君之秦。謂周最曰:「不如譽秦王之孝也,因以應為太后養地。秦王、太后必喜,是公有秦也。交善,周君必以為公功;交惡,勸周君入秦者,必有罪矣。」
新字:周君之秦。謂周最曰:「不如誉秦王之孝也,因以応為太后養地。秦王、太后必喜,是公有秦也。交善,周君必以為公功;交悪,勧周君入秦者,必有罪矣。」
書き下し
周君秦に之く。周最に謂ひて曰く、「秦王の孝を誉むるに如かず、因りて応を以て太后の養地と為す。秦王、太后必ず喜ばん、是れ公秦を有つなり。交善ければ、周君必ず以て公の功と為さん。交悪ければ、周君をして秦に入らしめし者、必ず罪有らん」と。
現代語訳
周君が秦に赴くことになった。ある人が周最に説いた。「秦王の孝行ぶりを称えるのが得策です。あわせて応の地を太后の養い料の地とするよう提案なさい。秦王も太后もきっと喜ぶでしょう。これはあなたが秦との関係を確保することになります。(周と秦の)交わりがうまくいけば、周君は必ずこれをあなたの功績とするでしょう。交わりがうまくいかなければ、周君を秦に行かせるよう勧めた者に、必ず責任が及ぶでしょう」。
解説
本話は、周君が秦へ赴くにあたり、周最がどう振る舞えば自らの立場を有利にできるかを説いた短い助言です。話者は、秦王の孝行心を称賛し太后のために土地を献じるという、相手の家族関係にまつわる感情に訴える手を勧め、それによって周最自身が秦との良好な関係の立役者となり、周君の秦訪問が成功すればその功績が自分に帰し、失敗しても提案者だけに責任が及んで自分は免れるという、リスクとリターンを慎重に計算した処世術を示しています。主君の外交上の一大事に自らの功績と責任をどう位置づけるかという、臣下の保身と功名心が入り混じった現実的な立ち回りがうかがえる一話です。
この章句が説くこと
周君周最秦王太后処世