戦国策 / 杜赫欲重景翠於周
杜赫欲重景翠於周,謂周君曰:「君之國小,盡君子重寶珠玉以事諸侯,不可不察也。譬之如張羅者,張於無鳥之所,則終日無所得矣;張於多鳥處,則又駭鳥矣;必張於有鳥無鳥之際,然後能多得鳥矣。今君將施於大人,大人輕君;施於小人,小人無可以求,又費財焉。君必施於今之窮士,不必且為大人者,故能得欲矣。」
新字:杜赫欲重景翠於周,謂周君曰:「君之国小,尽君子重宝珠玉以事諸侯,不可不察也。譬之如張羅者,張於無鳥之所,則終日無所得矣;張於多鳥処,則又駭鳥矣;必張於有鳥無鳥之際,然後能多得鳥矣。今君将施於大人,大人軽君;施於小人,小人無可以求,又費財焉。君必施於今之窮士,不必且為大人者,故能得欲矣。」
書き下し
杜赫景翠を周に重んぜしめんと欲し、周君に謂ひて曰く、「君の国小さく、君の子重寶珠玉を尽くして以て諸侯に事ふるも、察せざるべからざるなり。譬へばこれ羅を張る者の如し、鳥無きの所に張れば、則ち終日得る所無し。鳥多き処に張れば、則ち又鳥を駭かさん。必ず鳥有り鳥無きの際に張りて、然る後に能く多く鳥を得ん。今君将に大人に施さんとすれば、大人君を軽んず。小人に施せば、小人求むべき無く、又財を費やす。君必ず今の窮士に施せば、必ずしも且に大人為らざる者ならざるも、故に能く欲する所を得ん」と。
現代語訳
杜赫は景翠を周において重んじさせようと思い、周君に説いた。「あなたの国は小さく、あなたの持つ貴重な財宝や珠玉を尽くして諸侯にお仕えするにしても、よくよく考えなければなりません。たとえば網を張る者のようなものです。鳥のいない場所に網を張れば、一日中何も得られません。鳥の多い場所に張れば、かえって鳥を驚かせて逃がしてしまいます。必ず鳥がいるかいないかの中間あたりに網を張って、初めて多くの鳥を得ることができるのです。今、あなたが(すでに大成した)大人物に贈り物をしても、その大人物はあなたを軽んじるだけです。取るに足らない小人物に施しても、得るところがなく、財貨を無駄にするだけです。あなたは必ず、今はまだ困窮しているが将来大成するとは限らない士(=伸び盛りの人物)に施すべきです。そうすれば必ず望むものを得られるでしょう」。
解説

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
関連する章句
-
戦国策・唐且見春申君唐且、春申君に見えて曰く、「斉人身を飾り行いを修めて益を為すを得るも、然れども臣羞じて学ばざるなり。江河を避けず、行くこと千余里にして来たり、竊かに大君の義を慕い、君の業を善しとす。臣之を聞く、賁・諸、錐刃を懐きて天下勇と為し、西施褐を衣て天下美を称す、と。今、君万乗の楚に相たり、中国の難を禦ぐも、欲する所成らず、求むる所得ず、臣等少なければなり。夫れ梟棋の能く為す所以の者は、散棋を以て之を佐くればなり。夫れ一梟の五散に勝たざるも亦明らかなり。今、君何ぞ天下の梟と為らずして、臣等をして散と為さしめざるや。」
-
説苑・善說客梁王に謂いて曰く、「惠子の事を言うや譬を善くす。王をして譬うる無からしめば、則ち言うこと能わじ。」王曰く、「諾。」明日見えて惠子に謂いて曰く、「願わくは先生の事を言うは則ち直言せよ、譬うる無かれ。」惠子曰く、「今此こに人有りて彈を知らざるに、『彈の狀は何の若きか』と曰わば、應えて『彈の狀は彈の如し』と曰わば、諭らんか。」王曰く、「未だ諭らざるなり。」「是に於て更に應えて『彈の狀は弓の如くにして竹を以て弦と爲す』と曰わば、則ち知らんか。」王曰く、「知るべし。」惠子曰く、「夫れ說く者は固より其の知る所を以て、其の知らざる所を諭し、人をして之を知らしむ。今王『譬うる無かれ』と曰わば、則ち不可なり。」王曰く、「善し。」
-
史記 田敬仲完世家淳于髡曰く、「弓膠昔干は、合を為す所以なり。然れども疎罅を傅合すること能はず」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで自ら万民に附かん」と。淳于髡曰く、「狐裘は敝ると雖も、補ふに黄狗の皮を以てすべからず」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで君子を択び、小人を其の閒に雑ふる毋からん」と。淳于髡曰く、「大車も較せずんば、其の常任を載すること能はず。琴瑟も較せずんば、其の五音を成すこと能はず」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで法律を修めて姦吏を督さん」と。淳于髡説き畢はり、趨りて出で、門に至りて、其の仆に面して曰く、「是の人は、吾之に微言五を語る。其の我に応ずること響の声に応ずるが若し。是の人必ず封ぜらるること久しからざらん」と。朞に居りて、封ずるに下邳を以てし、号して成侯と曰ふ。威王二十三年、趙王と平陸に会す。二十四年、魏王と郊に会して田す。
-
史記 田敬仲完世家諸侯之を聞き、敢へて兵を斉に致すもの莫きこと二十余年。騶忌子琴を鼓するを以て威王に見ゆ。威王説びて之を右室に舎らしむ。須臾にして、王琴を鼓す。騶忌子戸を推して入りて曰く、「善いかな琴を鼓すること」と。王勃然として説ばず、琴を去りて剣を按じて曰く、「夫子容を見て未だ察せず。何を以てか其の善きを知る」と。騶忌子曰く、「夫れ大絃の濁りて以て春のごとく温かなるは、君なり。小絃の廉折にして以て清きは、相なり。之を攫むこと深く、之を醳つこと愉なるは、政令なり。鈞諧して以て鳴り、大小相益し、回邪して相害せざるは、四時なり。吾是を以て其の善きを知る」と。王曰く、「善く音を語る」と。騶忌子曰く、「何ぞ独り音を語るのみならん。夫れ国家を治めて人民を弭むること皆其の中に在り」と。王又勃然として説ばずして曰く、「夫の五音の紀を語るが若きは、信に未だ夫子の如き者有らざるなり。夫の国家を治めて人民を弭むるが若きは、又何為れぞ糸桐の閒に乎てせん」と。騶忌子曰く、「夫れ大絃の濁りて以て春のごとく温かなるは、君なり。小絃の廉折にして以て清きは、相なり。之を攫むこと深くして之を捨つること愉なるは、政令なり。鈞諧して以て鳴り、大小相益し、回邪して相害せざるは、四時なり。夫れ復して乱れざる者は、治昌なる所以なり。連なりて径なる者は、亡を存する所以なり。故に曰く琴音調ひて天下治まると。夫れ国家を治めて人民を弭むる者は、五音に若くは無し」と。王曰く、「善し」と。騶忌子見えて三月にして相印を受く。淳于髡之に見えて曰く、「善く説くかな。髡に愚志有り、願はくは諸を前に陳べん」と。騶忌子曰く、「謹んで教へを受けん」と。淳于髡曰く、「全きを得れば全く昌え、全きを失へば全く亡ぶ」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで前を離るる毋からん」と。淳于髡曰く、「狶膏棘軸は、滑らかと為す所以なり。然れども方穿を運らすこと能はず」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで左右に事へん」と。
-
人物志・九徵猶ほ火日の外を照らして、內を見る能はず、金水の內に映じて、外に光る能はざるがごとし。
-
戦国策・謂公叔曰乘舟公叔に謂いて曰く、「舟に乘るに、舟漏れて塞がざれば、則ち舟沈まん。漏舟を塞ぎて、陽侯の波を輕んずれば、則ち舟覆らん。今公自ら薛公に辯ずるを以て秦を輕んずるは、是れ漏舟を塞ぎて陽侯の波を輕んずるなり、願わくは公之を察せよ。」