呂氏春秋 / 有度②
客有問季子曰:「奚以知舜之能也?」季子曰:「堯固已治天下矣,舜言治天下而合己之符,是以知其能也。」「若雖知之,奚道知其不為私?」季子曰:「諸能治天下者,固必通乎性命之情者,當無私矣。夏不衣裘,非愛裘也,暖有餘也。冬不用𥵳,非愛𥵳也,清有餘也。聖人之不為私也,非愛費也,節乎己也。節己,雖貪汙之心猶若止,又況乎聖人?」
新字:客有問季子曰:「奚以知舜之能也?」季子曰:「堯固已治天下矣,舜言治天下而合己之符,是以知其能也。」「若雖知之,奚道知其不為私?」季子曰:「諸能治天下者,固必通乎性命之情者,当無私矣。夏不衣裘,非愛裘也,暖有余也。冬不用𥵳,非愛𥵳也,清有余也。聖人之不為私也,非愛費也,節乎己也。節己,雖貪汚之心猶若止,又況乎聖人?」
書き下し
客有り、季子に問いて曰く、「奚を以て舜の能を知るか。」季子曰く、「堯は固より已に天下を治む。舜、天下を治むるを言いて、己の符に合う。是を以て其の能を知るなり。」「若し之を知ると雖も、奚に道りて其の私を為さざるを知るか。」季子曰く、「諸々の能く天下を治むる者は、固より必ず性命の情に通ずる者にして、當に私無かるべし。夏に裘を衣ざるは、裘を愛しむに非ざるなり、暖餘り有ればなり。冬に𥵳を用いざるは、𥵳を愛しむに非ざるなり、清餘り有ればなり。聖人の私を為さざるや、費を愛しむに非ざるなり。己に節なればなり。己を節すれば、貪汙の心と雖も猶若ほ止む。又況んや聖人をや。」
現代語訳
客が季子に問うた。「何によって舜が有能だと分かるのか」。季子は「堯はもともとすでに天下を治めていた。舜が天下を治めることを語ると、それが堯の符節と合った。だから有能だと分かるのだ」と答えた。「たとえ有能と分かっても、どうして私心のために動かないと分かるのか」。季子は言った。「およそ天下を治められる者は、必ず生まれつきの自然な心に通じており、当然私心がない。夏に皮衣を着ないのは皮衣を惜しむからではなく、暖かさが有り余るからだ。冬に扇を使わないのは扇を惜しむからではなく、涼しさが有り余るからだ。聖人が私心のために動かないのは、出費を惜しむからではなく、自らを節するからだ。自らを節すれば、貪欲な心すら止む。まして聖人ならなおさらだ」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『晏子春秋』諫上・景公飲酒酲三日而後發晏子諫景公酒を飲み、酲え、三日にして後に発す。晏子見えて曰く、「君酒に病むか」と。公曰く、「然り」と。晏子曰く、「古の酒を飲むや、以て気を通じ好みを合わするに足るのみ。故に男は群れ楽しみて以て事を妨げず、女は群れ楽しみて以て功を妨げず。男女の群れ楽しむは、觴を周らすこと五献、之を過ぐる者は誅す。君身ら之を服す、故に外に怨治無く、内に乱行無し。今一日酒を飲みて、三日之に寝ね、国は外に怨を治め、左右は内に乱る。刑罰を以て自ら防ぐ者は、非を為すに勧み、賞誉を以て自ら勧むる者は、善を為すに惰る。上は徳行を離れ、民は賞罰を軽んじ、国を為む所以を失えり。願わくは君之を節せよ」と。
-
『酔古堂剣掃』集素・大賓と雖も牲を宰らず親にも飯を抬げず、大賓と雖も牲を宰らず。 直だに奢侈を戒めて久しかるべきのみに匪ず、亦た將に煩勞を免れて以て身を安んぜんとす。
-
言志四録・言志晩録 第百四十七条 人主飲を好むは害有り人主飲を好むは太だ害有り。式礼を除くの外は、宜しく自ら禁止すべし。百弊皆此より興る。
-
『酔古堂剣掃』集綺・花は半開を看る木香盛んに開けば、杯を把りて獨り其の下に坐し、遙かに青奴をして笛を吹かしめ、止だ一小奚を留めて酒に侍せしむ。才かに少しく斟酌すれば便ち退きて、迎春の架の後に立つ。 花は半開を看、酒は微醉に飲む。
-
『格言聯璧』悖凶類・多事は讀書の第一の病自家の病痛は自家醫せよ、死亡の時を待ちては、醫すこと已に晚し。 多事は讀書の第一の病と為す。多欲は養生の第一の病と為す。 多言は涉世の第一の病と為す。多智は立心の第一の病と為す。 多費は作家の第一の病と為す。
-
『格言聯璧』攝生類・言語を慎むは吾が德を養ふ所以愛慕節を知れば、則ち營求少なし。歡樂節を知れば、則ち禍敗少なし。 飲食節を知れば、則ち疾病少なし。 人は言語の以て吾が德を彰はすに足るを知りて、言語を慎むは乃ち吾が德を養ふ所以なるを知らず。 人は飲食の以て吾が身を益すに足るを知りて、飲食を節するは乃ち吾が身を養ふ所以なるを知らず。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る