呂氏春秋 / 貴卒①
力貴突,智貴卒。得之同則速為上,勝之同則濕為下。所為貴驥者,為其一日千里也,旬日取之,與駑駘同。所為貴鏃矢者,為其應聲而至,終日而至,則與無至同。
新字:力貴突,智貴卒。得之同則速為上,勝之同則湿為下。所為貴驥者,為其一日千里也,旬日取之,与駑駘同。所為貴鏃矢者,為其応声而至,終日而至,則与無至同。
書き下し
力は突を貴び、智は卒を貴ぶ。之を得ること同じければ則ち速きを上と為し、之に勝つこと同じければ則ち濕きを下と為す。驥を貴ぶ所為の者は、其の一日にして千里なるが為なり。旬日にして之を取れば、駑駘と同じ。鏃矢を貴ぶ所為の者は、其の聲に應じて至るが為なり。終日にして至れば、則ち至ること無きと同じ。
現代語訳
力は突進の勢いを貴び、智は素早さ(即断)を貴ぶ。得るものが同じなら速いほうが上、勝ち方が同じなら遅いほうが下だ。駿馬(驥)を貴ぶのは、一日に千里を走るからだ。十日かけてその距離を行くなら、駄馬と同じだ。鏃矢(するどい矢)を貴ぶのは、音に応じて即座に的に届くからだ。一日かかって届くなら、届かないのと同じである。
解説
「貴卒」の総論で、力も智も速さ・即断こそ価値だと説きます。同じ成果なら速いほうが上、同じ勝ちなら遅いほうが下。一日千里の駿馬も十日かければ駄馬と変わらず、音に応じて届く鋭矢も一日かかれば届かぬに等しい、と畳みかけます。好機は一瞬で去るため、決断と行動の速さが結果を分けるのです。以下の呉起・鮑叔らの逸話は、この即断即決の価値を具体例で示します。現代のスピード経営や意思決定の迅速さにも通じる、時機を逃さぬ知恵を説く一節です。
この章句が説くこと
貴卒速さ即断驥鏃矢時機
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