呂氏春秋 / 開春④
叔嚮之弟羊舌虎善欒盈,欒盈有罪於晉,晉誅羊舌虎,叔嚮為之奴而朡。祈奚曰:「吾聞小人得位,不爭不祥;君子在憂,不救不祥。」乃往見范宣子而說也,曰:「聞善為國者,賞不過而刑不慢。賞過則懼及淫人,刑慢則懼及君子。與其不幸而過,寧過而賞淫人,毋過而刑君子。故堯之刑也,殛鯀於虞而用禹;周之刑也,戮管、蔡而相周公;不慢刑也。」宣子乃命吏出叔嚮。救人之患者,行危苦、不避煩辱,猶不能免。今祈奚論先王之德,而叔嚮得免焉。學豈可以已哉?類多若此。
新字:叔嚮之弟羊舌虎善欒盈,欒盈有罪於晉,晉誅羊舌虎,叔嚮為之奴而朡。祈奚曰:「吾聞小人得位,不争不祥;君子在憂,不救不祥。」乃往見范宣子而説也,曰:「聞善為国者,賞不過而刑不慢。賞過則懼及淫人,刑慢則懼及君子。与其不幸而過,寧過而賞淫人,毋過而刑君子。故堯之刑也,殛鯀於虞而用禹;周之刑也,戮管、蔡而相周公;不慢刑也。」宣子乃命吏出叔嚮。救人之患者,行危苦、不避煩辱,猶不能免。今祈奚論先王之徳,而叔嚮得免焉。学豈可以已哉?類多若此。
書き下し
叔嚮の弟羊舌虎、欒盈に善し。欒盈、晉に罪有り。晉、羊舌虎を誅す。叔嚮之が為に奴となりて朡る。祈奚曰く、「吾聞く、小人位を得て、爭わざるは不祥なり。君子憂に在りて、救わざるは不祥なり。」乃ち往きて范宣子に見えて說くなり。曰く、「聞くならく、善く國を為むる者は、賞過ぎずして刑慢ならず。賞過ぐれば則ち淫人に及ばんことを懼れ、刑慢ならば則ち君子に及ばんことを懼る。其の不幸にして過つに與いては、寧ろ過ちて淫人を賞すとも、過ちて君子を刑すること毋かれ。故に堯の刑するや、鯀を虞に殛して禹を用う。周の刑するや、管・蔡を戮して周公を相とす。刑を慢にせざるなり。」宣子乃ち吏に命じて叔嚮を出だす。人の患を救う者は、危苦を行い、煩辱を避けざるも、猶ほ免れしむること能わず。今、祈奚、先王の德を論じて、叔嚮、免るることを得たり。學は豈に以て已む可けんや。類多く此の若し。
現代語訳
叔嚮(叔向)の弟の羊舌虎が欒盈と親しかった。欒盈が晋で罪を得たため、晋は羊舌虎を誅殺し、叔嚮も連座して奴隷にされ拘束された。祈奚(祁奚)は「小人が位を得たとき争わないのは不吉、君子が憂いにあるとき救わないのは不吉だと聞く」と言い、范宣子に会って説いた。「よく国を治める者は、賞は行き過ぎず刑もみだりにしないと聞く。賞が過ぎれば悪人にまで及ぶのを恐れ、刑がみだりなら君子にまで及ぶのを恐れる。不幸にして過つなら、むしろ過って悪人に賞を与えても、過って君子を罰してはならない。だから堯は鯀を虞で処刑したが禹を用い、周は管叔・蔡叔を誅したが周公を宰相とした。刑をみだりにしなかったのだ。」宣子は役人に命じて叔嚮を釈放した。人の危難を救う者は、危険や苦労、煩わしさや屈辱を避けずに尽くしてもなお救えないことがある。だが祈奚は先王の徳を論じただけで叔嚮を救った。学問はやめられようか。この類の例は多い。
解説
この章句が説くこと
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