呂氏春秋 / 仲冬③
是月也,農有不收藏積聚者,牛馬畜獸有放佚者,取之不詰。山林藪澤,有能取疏食田獵禽獸者,野虞教導之;其有侵奪者,罪之不赦。
新字:是月也,農有不収蔵積聚者,牛馬畜獣有放佚者,取之不詰。山林藪沢,有能取疏食田猟禽獣者,野虞教導之;其有侵奪者,罪之不赦。
書き下し
是の月や、農に收藏積聚せざる者有り、牛馬畜獸、放佚する者有れば、之を取るとも詰らず。山林藪澤、能く疏食を取り、禽獣を田獵する者有れば、野虞、之を教導す。其の侵奪する者有れば、之を罪して赦さず。
現代語訳
この月には、農民で収穫物をきちんと収め蓄えていない者や、牛馬や家畜を放し飼いにして逃がしている者がいれば、それを他人が取っても咎めません。山林や沼沢で、木の実などの食料を採り、鳥獣を狩る者があれば、野山をつかさどる役人の野虞がこれを指導します。もし他人のものを侵し奪う者があれば、これを罰して赦しません。
解説
この段は仲冬の月における山林原野の利用に関する規定です。要点は、収穫物を蓄えず放置した者の財は保護されない一方、正当な採集や狩猟は野虞の指導のもとに認められ、他人からの略奪は厳しく罰せられるということです。背景には、冬は蓄えを固める季節であり、怠って備えを怠った者への戒めと、自然資源を秩序立てて分配する統治の思想があります。自己責任と公共資源の管理、そして違反への厳罰という枠組みは、現代の資源管理やルールづくりの発想にも通じるものです。
この章句が説くこと
野虞山林藪沢田猟資源管理自己責任仲冬
関連する章句
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呂氏春秋・上農⑥然る後、四時の禁を制す。山は敢て材を伐り木を下さず、澤は敢て灰僇せず、繯網罝罦、敢て門より出ださず、罛罟、敢て淵に入れず、澤、舟虞に非ざれば、敢て縁絶せず。害を其の時に為せばなり。
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呂氏春秋・季夏②是の月や、漁師をして蛟を伐ち鼉を取り、龜を升め黿を取らしむ。乃ち虞人に命じて材葦を入れしむ。
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呂氏春秋・季秋②是の月や、申ねて號令を嚴にし、百官貴賤に命じて、入るを務めざること無く、以て天地の藏に曾い、宣出有ること無からしむ。冢宰に命じて、農事備を收め、五種の要を舉げ、帝籍の收を神倉に藏め、祗敬して必ず飭えしむ。
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呂氏春秋・孟冬⑦是の月や、乃ち水虞・漁師に命じて、水泉池澤の賦を収め、敢て衆庶兆民を侵削して、以て天子の為に怨みを下に取ること或る無からしむ。其れ此きの若き者有れば、罪を行い赦すこと無し。
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呂氏春秋・仲秋④是の月や、以て城郭を築き、都邑を建て、竇窌を穿ち、囷倉を修めしむ可し。乃ち有司に命じて、民を趣して收斂せしめ、務めて菜を蓄え、積聚を多からしむ。乃ち麥を種うることを勸め、時を失うこと或る無からしむ。罪を行いて疑うこと無し。
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呂氏春秋・仲冬⑤是の月や、以て官の事無き者を罷め、器の用無き者を去り、闕庭門閭を塗り、囹圄を築く可し。此れ天地の閉藏を助くる所以なり。