呂氏春秋 / 仲冬⑤
是月也,可以罷官之無事者,去器之無用者。塗闕庭門閭,築囹圄,此所以助天地之閉藏也。
新字:是月也,可以罷官之無事者,去器之無用者。塗闕庭門閭,築囹圄,此所以助天地之閉蔵也。
書き下し
是の月や、以て官の事無き者を罷め、器の用無き者を去り、闕庭門閭を塗り、囹圄を築く可し。此れ天地の閉藏を助くる所以なり。
現代語訳
この月には、仕事のない役職を廃止し、役に立たない器物を取り除き、宮門の前庭や門・入口の壁を塗り固め、牢獄を築き整えるのがよいです。これらはみな、天地が万物を閉じ蔵する働きを助ける行いです。
解説
この段は仲冬に行うべき整理と施設整備を簡潔に述べています。要点は、無用な官職や器物を除き、門や牢獄を塗り固めて閉ざすことで、天地の閉蔵の働きに人の営みを合わせるということです。背景には、季節の気に人事を対応させる月令の思想があり、冬は締めくくり整える時期とされました。不要なものを削ぎ落とし守りを固めるという発想は、年末の棚卸しや組織のスリム化、リスクへの備えといった現代の実務にも通じ、季節に応じてやるべき仕事を定める時間割の知恵として読めます。
この章句が説くこと
閉蔵囹圄整理無用の官月令仲冬
関連する章句
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呂氏春秋・孟冬④是の月や、天子始めて裘す。有司に命じて曰く、「天氣上騰し、地氣下降し、天地通ぜず、閉じて冬を成せ。」百官に命じて、謹んで蓋藏せしむ。司徒に命じて、積聚を循行し、斂めざる有ること無からしむ。城郭を坿し、門閭を戒め、楗閉を修め、關籥を慎み、封璽を固くす。邊境に備え、要塞を全くし、關梁を謹み、蹊徑を塞ぐ。喪紀を飭え、衣裳を辧ち、棺槨の厚薄を審らかにし、丘壟に小大高卑薄厚の度、貴賤の等級を營る。
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呂氏春秋・仲冬①仲冬の月。日は斗に在り、昏に東壁中し、旦に軫中す。其の日は壬癸、其の帝は顓頊、其の神は玄冥、其の蟲は介、其の音は羽、律は黃鐘に中たる。其の數は六、其の味は鹹、其の臭は朽。其の祀は井、祭るには腎を先にす。冰益々壯んに、地始めて坼け、鶡鴠鳴かず、虎始めて交わる。天子、玄堂の太廟に居り、玄輅に乘り、鐵驪を駕し、玄旂を載て、黑衣を衣、玄玉を服び、黍と彘とを食らう。其の器は宏にして以て弇なり。有司に命じて曰く、「土事作すこと無く、蓋藏を發すること無く、大衆を起こすこと無く、以て固くして閉ざせ。」蓋藏を發し、大衆を起こさば、地氣且に泄れんとす。是を天地の房を發すと謂う。諸蟄則ち死し、民に疾疫多く、又隨うに喪を以てす。之を命づけて暢月と曰う。
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呂氏春秋・季秋②是の月や、申ねて號令を嚴にし、百官貴賤に命じて、入るを務めざること無く、以て天地の藏に曾い、宣出有ること無からしむ。冢宰に命じて、農事備を收め、五種の要を舉げ、帝籍の收を神倉に藏め、祗敬して必ず飭えしむ。
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呂氏春秋・仲春⑤是の月や、耕者少しく舎めば、乃ち闔扇を修め、寝廟必ず備わらしむ。大事を作して以て、農功を妨ぐること無かれ。
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呂氏春秋・季冬②是の月や、漁師に命じて始めて漁せしむ。天子親ら往き、乃ち魚を嘗め、先づ寢廟に薦む。冰方に盛んに、水澤も復んなり。命じて冰を取らしむ。冰已に入れば、令して民に告げ、五種を出ださしめ、司農に命じて、耦耕の事を計り、耒耜を修め、田器を具えしむ。樂師に命じて、大いに吹を合わせしめて罷む。乃ち四監に命じて、薪柴を收秩せしめ、以て寢廟及び百祀の薪燎に供す。
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呂氏春秋・音律③黃鐘の月は、土事作すこと無く、慎みて蓋を發する無く、以て天を固め地を閉づ。陽氣且に泄れんとすればなり。大呂の月は、數將に終わりに幾からんとし、歲且に更め起こらんとす。而ち農民、使う所有る無かれ。太蔟の月は、陽氣始めて生じ、草木繁動す。農をして土を發せしめて、時を失うこと或る無かれ。夾鐘の月は、寬裕和平にして、德を行い刑を去り、事を作して、以て群生を害すること或る無かれ。姑洗の月は、道を達し路を通じ、溝瀆修利す。此の令を申ぶれば、嘉氣趣やかに至る。仲呂の月、大衆を聚むること無く、巡りて農事を勸む。草木方に長ず、民心を攜つこと無かれ。蕤賓の月、陽氣上に在り、壯を安んじ佼を養う。本朝靜かならざれば、草木早く槁る。林鐘の月、草木盛んに滿ち、陰將に刑を始めんとす。大事を發して、以て陽氣を將うこと無かれ。夷則の月、法を修め刑を飭し、士を選び兵を厲ぎ、不義を詰誅して、以て遠方を懷けよ。南呂の月、蟄蟲穴に入る。農を趣して收聚し、敢て懈怠すること無く、多きを以て務と為す。無射の月、疾く有罪を斷じ、法に當りて赦すこと勿れ。獄訟を留むること無く、以て亟やかなるを故と以てす。應鐘の月、陰陽通ぜず、閉じて冬と為る。喪紀を修別し、民の終る所を審らかにせよ。