呂氏春秋 / 古樂⑦
帝嚳命咸黑作為聲,歌《九招》、《六列》、《六英》。有倕作為鼙鼓鐘磬(吹)(苓)〔笭〕管壎(箎)〔篪〕鞀椎鍾。帝嚳乃令人抃或鼓鼙,擊鐘磬,吹苓展管(箎)〔篪〕。因令鳳鳥、天翟舞之。帝嚳大喜,乃以康帝德。
新字:帝嚳命咸黒作為声,歌《九招》、《六列》、《六英》。有倕作為鼙鼓鐘磬(吹)(苓)〔笭〕管壎(箎)〔篪〕鞀椎鍾。帝嚳乃令人抃或鼓鼙,撃鐘磬,吹苓展管(箎)〔篪〕。因令鳳鳥、天翟舞之。帝嚳大喜,乃以康帝徳。
書き下し
帝嚳、咸黑に命じて聲歌の九招・六列・六英を作為せしむ。有倕、鼙鼓鐘磬・苓管壎箎・鞀椎鍾を作為す。帝嚳乃ち人をして鼓鼙を抃ち、鐘磬を撃ち、苓壎管箎を吹かしめ、因りて鳳鳥・天翟をして之を舞わしむ。帝嚳大いに喜び、乃ち以て帝德を康う。
現代語訳
帝嚳は咸黒に命じて歌曲『九招』『六列』『六英』を作らせた。有倕は鼙(小鼓)・鼓・鐘・磬、笭・管・壎(土笛)・箎(横笛)、鞀(振り鼓)・椎・鍾などの楽器を作った。帝嚳は人々に命じて鼓や鼙を打ち、鐘や磬を撃ち、笭・壎・管・箎を吹かせ、そのうえで鳳凰や尾長の雉に舞わせた。帝嚳は大いに喜び、こうして帝の徳を讃えたのである。
解説
帝嚳の時代に、多くの歌曲と楽器がそろって盛んな合奏が生まれた様子を語る段です。咸黒が『九招』などの歌を作り、有倕が打楽器・管楽器・弦を打つ道具など多彩な楽器を製作し、それらを合わせて演奏し、鳳凰や雉が舞ったといいます。歌・楽器・舞がそろい、瑞鳥までが加わる華やかな情景は、音楽が神話的な帝徳の讃美と一体であったことを示します。個々の名器の由来を細かく伝える点に、楽器の発達史を神話に託して記す関心がうかがえます。歌・演奏・舞が一体となって喜びを表し、共同体で分かち合われる音楽の原型がここにあり、総合芸術としての音楽の始まりを伝える段といえます。
この章句が説くこと
帝嚳咸黒有倕九招鳳鳥楽器
関連する章句
-
呂氏春秋・古樂⑧帝堯立ちて、乃ち質に命じて樂を為らしむ。質乃ち山林谿谷の音に效いて以て歌い、乃ち麋𩊚を以て缶を置いて之を鼓し、乃ち石を拊ち石を擊ち、以て上帝の玉磬の音に象り、以て百獸を致し舞わしむ。瞽叟乃ち五弦の瑟を拌ち、作りて以て十五弦の瑟と為す。
-
呂氏春秋・古樂⑤昔、黃帝、伶倫をして律を作為せしむ。伶倫、大夏の西自り、乃ち阮隃の陰に之き、竹を嶰谿の谷に取り、生じて空竅の厚さ鈞しき者を以て、兩節の間を斷ち、其の長さ三寸九分にして之を吹き、以て黃鐘の宮と為し、吹けば舍少と曰う。次に十二筒を制し、以て阮隃の下に之き、鳳皇の鳴を聽き、以て十二律に別つ。其の雄の鳴は六為り、雌の鳴も亦た六たり。以て黃鐘の宮に比して、適合せしむ。黃鐘の宮、皆以て之を生ず可し。故に曰く、黃鐘の宮は、律呂の本なり。黃帝又伶倫に命じ、榮將と與に十二鐘を鑄、以て五音を和し、以て英韶を施さしむ。仲春の月、乙卯の日、日の奎に在りしときを以て、始めて之を奏し、之を命づけて咸池と曰う。
-
呂氏春秋・古樂⑨之を命づけて大章と曰い、以て上帝を祭る。舜立ち、仰延、乃ち瞽叟の為りし所の瑟を拌ち、之に八弦を益し、以て二十三弦の瑟と為す。帝舜、乃ち質をして九招・六列・六英を修せしめ、以て帝德を明らかにす。
-
呂氏春秋・古樂⑥帝顓頊は若水自り生まれ、實に空桑に處り、乃ち登りて帝と為る。惟れ天に之れ合い、正風乃ち行われ、其の音熙熙淒淒鏘鏘の若し。帝顓頊、其の音を好み、乃ち飛龍をして作りて八風の音に效わしめ、之を命づけて承雲と曰い、以て上帝を祭る。乃ち鱓をして先づ樂倡為らしむ。鱓乃ち偃寢し、其の尾を以て其の腹を鼓す。其の音英英たり。
-
詩経・周頌・臣工之什・有瞽有瞽(ゆうこ)は、始めて楽を作りて祖に合するなり。 瞽(こ)有り瞽有り、周の庭に在り。業(ぎょう)を設け虡(きょ)を設け、崇牙(すうが)に羽を樹(た)つ。応(おう)田(でん)県鼓(けんこ)、鞉(とう)磬(けい)柷(しゅく)圉(ぎょ)。既に備わりて乃ち奏し、簫管(しょうかん)備(つぶさ)に挙がる。喤喤(こうこう)たる厥(そ)の声、粛雝(しゅくよう)として和鳴し、先祖是れ聴く。我が客戻(いた)り止まり、永く厥の成るを観る。
-
呂氏春秋・古樂③昔、葛天氏の樂は、三人、牛尾を操り足を投じ、以て八闋を歌う。一を載民と曰い、二を玄鳥と曰い、三を遂草木と曰い、四を奮五穀と曰い、五を敬天常と曰い、六を達帝功と曰い、七を依地德と曰い、八を總禽獣之極と曰う。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る