呂氏春秋 / 古樂⑧
帝堯立,乃命質為樂。質乃效山林谿谷之音以〔作〕歌,乃以麋𩊚(置)〔冒〕缶而鼓之,乃拊石擊石,以象上帝玉磬之音,以致舞百獸。瞽叟乃拌五弦之瑟,(作)以為十五弦之瑟。
新字:帝堯立,乃命質為楽。質乃効山林谿谷之音以〔作〕歌,乃以麋𩊚(置)〔冒〕缶而鼓之,乃拊石擊石,以象上帝玉磬之音,以致舞百獣。瞽叟乃拌五弦之瑟,(作)以為十五弦之瑟。
書き下し
帝堯立ちて、乃ち質に命じて樂を為らしむ。質乃ち山林谿谷の音に效いて以て歌い、乃ち麋𩊚を以て缶を置いて之を鼓し、乃ち石を拊ち石を擊ち、以て上帝の玉磬の音に象り、以て百獸を致し舞わしむ。瞽叟乃ち五弦の瑟を拌ち、作りて以て十五弦の瑟と為す。
現代語訳
帝堯が位に立つと、質に命じて音楽を作らせた。質は山林や谷川の音をまねて歌を作り、大鹿の生皮を缶(土器)にかぶせて打ち、石を打ち鳴らして天帝の玉磬の音になぞらえ、それによって多くの獣を集めて舞わせた。楽官の瞽叟は五弦の瑟を作りかえ、十五弦の瑟をこしらえた。
解説
堯の時代に、自然の音をもとにした音楽と、弦楽器の改良が進んだことを語る段です。楽官の質は山林や谷川の音をまねて歌を作り、獣皮を張った太鼓や打ち鳴らす石で天帝の玉磬の音をまね、獣たちまで舞い集まったといいます。さらに瞽叟が五弦の瑟を作りかえて十五弦の瑟をこしらえたと、楽器の発達も記されます。自然界の音に学んで音楽を組み立てるという、この巻に一貫する発想が繰り返される一方、弦の数を増やす技術的改良への関心も示されます。素朴な模倣から次第に楽器が洗練されていく過程を、聖王の事績として順序立てて伝えており、音楽が世代を重ねて豊かになっていく様子がうかがえます。
この章句が説くこと
帝堯質瞽叟瑟玉磬百獣