呂氏春秋 / 去私②
黃帝言曰:「聲禁重,色禁重,衣禁重,香禁重,味禁重,室禁重。」
新字:黄帝言曰:「声禁重,色禁重,衣禁重,香禁重,味禁重,室禁重。」
書き下し
黄帝の言に曰く、「聲は重きを禁じ、色は重きを禁じ、衣は重きを禁じ、香は重きを禁じ、味は重きを禁じ、室は重きを禁ず。」
現代語訳
黄帝の言葉にこうある。「音楽は度を越すことを慎み、色事は度を越すことを慎み、衣服は度を越すことを慎み、香りは度を越すことを慎み、味は度を越すことを慎み、住まいは度を越すことを慎む。」(何ごとも過度に走らず、節度を保て、というのである。)
解説
去私篇に引かれた黄帝の言葉で、六つの欲について「重(過度)」を慎めと説く段です。音楽・色事・衣服・香り・味・住まい——人が楽しみやすい六つの領域を挙げ、そのいずれも度を越してはならない、と戒めます。前段までが天地の無私を説いたのに対し、ここでは視点を個人に移し、私欲を抑える具体的な指針を示しています。「公(私心を去ること)」を実現するには、まず自分の欲望が肥大化しないよう節する必要がある、という流れです。楽しみそのものを否定するのではなく、どれも「過度」に陥らせないことが要点です。何か一つに溺れれば心の均衡が崩れ、判断も曇ります。欲を適量にとどめる自己管理こそ、公平な心を保つ土台になる——短いながらも実践的な節欲の教えを含む一段です。
この章句が説くこと
去私黄帝節欲六禁節度私心を去る
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