了凡四訓 / 積善之方・玉の石に在るや、追琢すれば則ち圭璋
何謂成人之美?玉之在石,抵擲則瓦礫,追琢則圭璋;故凡見人行一善事,或其人志可取而資可進,皆須誘掖而成就之。或為之獎借,或為之維持;或為白其誣而分其謗;務使之成立而後已。 大抵人各惡其非類,鄉人之善者少,不善者多。善人在俗,亦難自立。且豪傑錚錚,不甚修形跡,多易指摘;故善事常易敗,而善人常得謗;惟仁人長者,匡直而輔翼之,其功德最宏。
新字:何謂成人之美?玉之在石,抵擲則瓦礫,追琢則圭璋;故凡見人行一善事,或其人志可取而資可進,皆須誘掖而成就之。或為之獎借,或為之維持;或為白其誣而分其謗;務使之成立而後已。 大抵人各悪其非類,郷人之善者少,不善者多。善人在俗,亦難自立。且豪傑錚錚,不甚修形跡,多易指摘;故善事常易敗,而善人常得謗;惟仁人長者,匡直而輔翼之,其功徳最宏。
書き下し
何をか人の美を成すと謂ふ。玉の石に在るや、抵擲すれば則ち瓦礫、追琢すれば則ち圭璋なり。故に凡そ人の一善事を行ひ、或いは其の人の志取るべくして資進むべきを見ば、皆な須らく誘掖して之を成就すべし。或いは之が為に獎借し、或いは之が為に維持し、或いは為に其の誣を白して其の謗を分つ。務めて之をして成立せしめて後已む。 大抵人は各々其の非類を惡む。鄉人の善なる者は少なく、不善なる者は多し。善人俗に在りては、亦た自立し難し。且つ豪傑は錚錚として、甚だしくは形跡を修めず、多く指摘し易し。故に善事は常に敗れ易く、善人は常に謗りを得。惟だ仁人長者、匡直して之を輔翼す。其の功德最も宏し。
現代語訳
人の美点を成就させるとは何でしょうか。玉が石の中にあるとき、投げ捨てればただの瓦や小石ですが、彫り磨けば圭や璋(儀式に用いる玉器)になります。だから、人が一つでも善いことをするのを見たり、その人の志に見どころがあり、資質が伸びそうだと見たりしたら、必ず導き助けて、それを成し遂げさせなければなりません。ある時はその人をほめて引き立て、ある時は支えて守り、ある時は濡れ衣を晴らし、受けている非難を分け持ってやります。努めてその人を一人前にしてから、やめるのです。 おおよそ人は、自分と違う種類の者を嫌うものです。村の人のうち、善い者は少なく、善くない者が多いのです。善い人が世俗の中にいると、なかなか一人では立っていけません。しかも豪傑は気骨が強く、あまり体裁を整えないので、あら探しをされやすいのです。だから善い事はいつも失敗しやすく、善い人はいつも非難を受けます。ただ仁徳ある人や年長者だけが、正して支え、助けてやることができます。その功徳は最も大きいのです。
解説
この章句が説くこと
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『了凡四訓』積善之方・百世に人に勸むるは書を以てす何をか人に勸めて善を為さしむと謂ふ。生まれて人類と為る、孰か良心無からん。世路役役として、最も沒溺し易し。凡そ人と相處るには、當に方便して提撕し、其の迷惑を開くべし。譬へば猶ほ長夜の大夢に、之をして一たび覺めしむるがごとく、譬へば猶ほ久しく煩惱に陷るに、之を清涼に拔くがごとし。惠を為すこと最も溥し。韓愈云ふ、一時に人に勸むるは口を以てし、百世に人に勸むるは書を以てす、と。之を人と善を為すに較ぶれば、形跡有りと雖も、然れども證に對して藥を發すれば、時に奇效有り、廢すべからざるなり。言を失ひ人を失はば、當に吾が智に反るべし。
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『了凡四訓』積善之方・言を以て教へずして身を以て之を轉ず緣に隨ひて眾を濟ふこと、其の類至って繁し。約して其の綱を言はば、大約十有り。第一、人と善を為す。第二、愛敬心に存す。第三、人の美を成す。第四、人に勸めて善を為さしむ。第五、人の危急を救ふ。第六、大利を興建す。第七、財を捨てて福を作す。第八、正法を護持す。第九、尊長を敬重す。第十、物命を愛惜す。 何をか人と善を為すと謂ふ。昔舜雷澤に在りしとき、漁者皆な深潭厚澤を取りて、老弱は則ち急流淺灘の中に漁するを見て、惻然として之を哀れみ、往きて漁す。爭ふ者を見れば皆な其の過ちを匿して談ぜず、讓る者有るを見れば、則ち揄揚して之に取法す。朞年にして、皆な深潭厚澤を以て相讓る。夫れ舜の明哲を以てして、豈に一言を出して眾人に教ふる能はざらんや。乃ち言を以て教へずして身を以て之を轉ず。此れ良工の苦心なり。
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『了凡四訓』積善之方・惠は大に在らず、人の急に赴けば可なり何をか人の危急を救ふと謂ふ。患難顛沛は、人の時に有る所なり。偶ま一たび之に遇はば、當に痌瘝の身に在るが如く、速やかに為に解救すべし。或いは一言を以て其の屈抑を伸べ、或いは多方を以て其の顛連を濟ふ。崔子曰く、惠は大に在らず、人の急に赴けば可なり、と。蓋し仁人の言なるかな。 何をか大利を興建すと謂ふ。小にしては一鄉の內、大にしては一邑の中、凡そ利益有るものは、最も宜しく興建すべし。或いは渠を開きて水を導き、或いは堤を築きて患を防ぎ、或いは橋樑を修めて、以て行旅を便にし、或いは茶飯を施して、以て飢渴を濟ふ。緣に隨ひて勸導し、力を協せて興修し、嫌疑を避くる勿かれ、勞怨を辭する勿かれ。
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