論語 / 微子篇
周公謂魯公曰:「君子不施其親,不使大臣怨乎不以。故舊無大故,則不棄也,無求備於一人。」
新字:周公謂魯公曰:「君子不施其親,不使大臣怨乎不以。故旧無大故,則不棄也,無求備於一人。」
書き下し
周公、魯公に謂いて曰く、「君子は其の親を施てず、大臣をして以いられざるを怨ましめず。故旧、大故無くんば、則ち棄てざるなり。備わらんことを一人に求むること無かれ。」
現代語訳
周公が魯公におっしゃった。「君子は身内を見捨てない。重臣に、用いられないという怨みを抱かせない。古くからの馴染みは、大きな過ちが無い限り見捨てない。一人の人間に、何もかも備わっていることを求めない。」
解説
周公が息子に与えた四つの戒めである。どれも人を手放さないことに関わっている。身内を捨てない、重臣に不遇を感じさせない、古い付き合いを切らない、一人に完璧を求めない。四つ目が全体をまとめている。完璧を求めれば、必ず誰かが基準を下回り、切ることになるからだ。組織を率いる立場から見ると、これは効率の反対に見える。能力の低い人を抱え、古い関係を維持し、要求水準を下げる。短期の生産性は落ちる。だが、切られない安心がある組織では、人は長く力を出す。切られる可能性が常にある組織では、人は自分を守ることに力を使う。無求備於一人という一句は、子路篇の求備焉と同じ主題である。完璧を求めない設計が、結果として人を残す。