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学問のすゝめ / 十六編・心事と働きと相当すべきの論・心事と働きという二語を用いて

さればこの議論と実業とは寸分も相齟齬せざるよう正しく平均せざるべからざるものなり。今、初学の人の了解に便ならしめんがため、人の心事と働きという二語を用いて、その互いに相助けて平均をなし、もって人間の益を致す所以と、この平均を失うよりして生ずるところの弊害を論ずること左のごとし。

書き下し

さればこの議論と実業とは寸分も相齟齬せざるよう正しく平均せざるべからざるものなり。今、初学の人の了解に便ならしめんがため、人の心事と働きという二語を用いて、その互いに相助けて平均をなし、もって人間の益を致す所以と、この平均を失うよりして生ずるところの弊害を論ずること左のごとし。

現代語訳

ですからこの議論と実業とは、寸分も食い違わないよう正しく釣り合わせなければならないものです。今、学び始めの人が理解しやすいように、人の心事と働きという二語を用いて、その二つが互いに助け合って釣り合いをなし、それによって人の益をもたらす理由と、この釣り合いを失うことから生じる弊害とを論じること、次の通りです。

解説

この編の設計図が示されます。心事と働きという二語を立て、釣り合ったときの益と、崩れたときの弊害を順に論じる、と。初学の人に分かりやすくするためだと断ってあるのが親切で、五編の文体論とも通じます。以下、心事が勝つ場合と働きが勝つ場合が交互に検討されていくので、この予告が読み手の地図になります。どこに向かう議論なのかを先に示す配慮です。

この章句が説くこと

設計二語釣合弊害予告

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