墨子 / 魯問
昔者楚人與越人舟戰於江,楚人順流而進,迎流而退,見利而進,見不利則其退難。越人迎流而進,順流而退,見利進,見不利則其退速。越人因此若執函敗楚人。公輸子自魯南遊楚,焉始為舟戰之器,作為鈎强之備,退者鉤之,進者强之,量其鈎强之長,而制為之兵。楚之兵節,越之兵不節,楚人因此若執函敗越人。
新字:昔者楚人与越人舟戦於江,楚人順流而進,迎流而退,見利而進,見不利則其退難。越人迎流而進,順流而退,見利進,見不利則其退速。越人因此若執函敗楚人。公輸子自魯南遊楚,焉始為舟戦之器,作為鈎强之備,退者鉤之,進者强之,量其鈎强之長,而制為之兵。楚之兵節,越之兵不節,楚人因此若執函敗越人。
書き下し
昔者、楚人と越人と江に舟戰す。楚人は流れに順いて進み、流れを迎えて退く。利を見て進み、不利を見れば則ち其の退くこと難し。越人は流れを迎えて進み、流れに順いて退く。利を見て進み、不利を見れば則ち其の退くこと速やかなり。越人、此に因り、若し函を執らば楚人を敗る。公輸子、魯より南のかた楚に遊び、焉に始めて舟戰の器を為り、鈎强の備えを作為す。退く者は之を鉤し、進む者は之を强む。其の鈎强の長さを量りて、制して之が兵を為る。楚の兵は節し、越の兵は節せず。楚人、此に因り、若し函を執らば越人を敗る。
現代語訳
むかし楚の人と越の人が長江で水戦をした。楚の人は流れに乗って進み、流れに逆らって退く。有利と見れば進むが、不利と見ても退きにくい。越の人は流れに逆らって進み、流れに乗って退く。有利と見れば進み、不利と見れば速やかに退く。越の人はこれによって、うまく構えれば楚の人を破った。公輸子が魯から南の楚に行き、そこではじめて水戦の器を作り、鉤と強の備えをこしらえた。退こうとする者は鉤で引っかけ、進もうとする者は強で押しとどめる。その鉤と強の長さを測って、それに合わせた武器を作った。楚の武器は寸法が合い、越の武器は合わない。楚の人はこれによって、うまく構えれば越の人を破った。
解説
川の流れの向きが、そのまま進退のしやすさを決めていた。その地形上の差を、道具で埋めたのが公輸子の鉤と強です。相手が退くのを引っかけ、進むのを押しとどめる。しかも武器の長さをその器具に合わせて設計している。技術で戦況を反転させた事例として、次の段の議論の下敷きになります。
この章句が説くこと
技術地形設計道具戦い
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