論語 / 季氏篇
孔子曰:「君子有九思:視思明,聽思聰,色思溫,貌思恭,言思忠,事思敬,疑思問,忿思難,見得思義。」
新字:孔子曰:「君子有九思:視思明,聴思聰,色思温,貌思恭,言思忠,事思敬,疑思問,忿思難,見得思義。」
書き下し
孔子曰く、君子に九思有り。視るには明を思い、聴くには聡を思い、色には温を思い、貌には恭を思い、言には忠を思い、事には敬を思い、疑わしきには問うを思い、忿りには難を思い、得るを見ては義を思う。
現代語訳
孔子がおっしゃった。「君子には九つの心がけがある。見るときははっきり見ることを思い、聞くときは聞き漏らさないことを思い、顔つきは穏やかであることを思い、態度は恭しくあることを思い、言葉は誠実であることを思い、仕事は真剣であることを思い、疑わしいときは問うことを思い、怒ったときは後の面倒を思い、利益を前にしたときは義を思う。」
解説
九つの場面と、それぞれの心がけが対応している。網羅的でありながら、一つ一つが具体的だ。とくに後半の三つが実務的である。疑わしいときは問う。怒ったときは後の面倒を思う。利益を前にしたときは義を思う。どれも、そのまま行動すると失敗する場面ばかりを選んでいる。疑わしいまま進めば誤り、怒りのまま動けば後始末が要り、利益に飛びつけば筋を失う。九つを暗記する必要はない。重要なのは、場面ごとに一拍置く習慣を持つことである。見る、聞く、話す、怒る、得る。どれも反射的に行われる動作だ。そこに一つ思うことを挟む。挟むだけで、結果が変わる場面は多い。孔子が九つも並べたのは、日常が反射で埋まっていることを知っていたからだろう。
この章句が説くこと
九思習慣一拍場面自制
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