論語 / 季氏篇
孔子曰:「君子有三戒:少之時,血氣未定,戒之在色;及其壯也,血氣方剛,戒之在鬭;及其老也,血氣既衰,戒之在得。」
新字:孔子曰:「君子有三戒:少之時,血気未定,戒之在色;及其壮也,血気方剛,戒之在闘;及其老也,血気既衰,戒之在得。」
書き下し
孔子曰く、君子に三戒有り。少き時は、血気未だ定まらず、之を戒むること色に在り。其の壮なるに及びてや、血気方に剛なり、之を戒むること闘に在り。其の老いたるに及びてや、血気既に衰う、之を戒むること得るに在り。
現代語訳
孔子がおっしゃった。「君子には三つの戒めがある。若いころは血気がまだ定まらないので、戒めは色にある。壮年になれば血気がまさに盛んなので、戒めは争いにある。老年になれば血気が衰えるので、戒めは得ることにある。」
解説
年齢ごとに危険の形が変わる、という洞察である。若年は色欲、壮年は闘争、老年は貪欲。前二つは分かりやすいが、三つ目が鋭い。血気が衰えると、なぜ得ることを戒めなければならないのか。体力が落ちて先が短くなると、失うことへの恐れが強まり、蓄えようとする。若い頃は使う一方だった人が、年を取ると手放せなくなる。事業でも、この現象は顕著に現れる。創業期は投資し、成長期は競争し、成熟期は溜め込む。溜め込むこと自体は合理的に見えるが、それが判断の基準になると、事業は縮む。地位を手放さない、権限を渡さない、現金を抱える。どれも安全を求めた結果である。三つの戒めのうち、最も自覚しにくいのがこれだろう。