論語 / 衛霊公篇
子曰:「辭,達而已矣!」
新字:子曰:「辞,達而已矣!」
書き下し
子曰く、辞は達するのみ。
現代語訳
先生がおっしゃった。「言葉は、意味が通じればそれでよい。」
解説
文章論として、これ以上簡潔なものはない。言葉の目的は伝わることであって、飾ることではない。この一句自体が、六字で言い切られている。実践と主張が一致した稀な例である。ただし、達するというのは易しいことではない。伝わればよいというのは、雑でよいという意味ではない。むしろ、伝わるまで削るという要求である。飾りを足すのは楽で、削るのは難しい。多くの文書が長くなるのは、書き手が削る作業を省いているからだ。読み手の時間を使う量は、書き手が削らなかった量に比例する。孔子は文章家ではないが、この一句は文章の本質を突いている。何を書くかを決めるより、何を書かないかを決めるほうが時間がかかる。それを引き受けるかどうかが、達するかどうかを分ける。
この章句が説くこと
辞達簡潔文章削る伝達
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