論語 / 衛霊公篇
子曰:「有教無類。」
書き下し
子曰く、教え有りて類無し。
現代語訳
先生がおっしゃった。「教育に区別はない。」
解説
四字だけの宣言である。身分、出自、貧富、地域。どんな区別も、教育の対象からは除外されない。当時としては革命的な主張だった。実際、孔子の門下には貴族の子弟から貧しい者、素行の悪かった者まで含まれていた。仲弓のように出自の低い弟子を認め、互郷の少年にも会った。言葉だけでなく、実行が伴っている。この宣言の含意は、教育の効果に対する信頼でもある。区別しないということは、誰でも変わりうると信じているということだ。ある種の人間は教えても無駄だ、という前提があれば、対象は絞られる。孔子はその前提を置かなかった。組織の育成方針にも同じ問いがある。誰に投資するかを選別するのは合理的だが、選別の前提には、選ばれなかった人は変わらないという判断が隠れている。