論語 / 衛霊公篇
子曰:「事君,敬其事而後其食。」
書き下し
子曰く、君に事うるには、其の事を敬して其の食を後にす。
現代語訳
先生がおっしゃった。「主君に仕えるには、まず職務に真剣に取り組み、俸禄のことは後にする。」
解説
職務と報酬の順序を定めている。仕事が先で、報酬は後。単純だが、実際には逆になりやすい。報酬に見合った働きをする、という考え方は公平に見えるし、多くの人が採用している。だが、この考え方は上限を先に決めてしまう。報酬が上がるまで働きを増やさないなら、報酬が上がる根拠も生まれない。孔子の順序は、その循環を断つためのものだ。ただし、これを雇う側が言えば搾取の理屈になる。この教えは、仕える側が自分に課すものである。雍也篇には、原思が俸禄を辞退したときに受け取れと言った場面もあった。孔子は報酬を軽視していない。順序を言っているだけである。まず職務、それから報酬。この順で考える人は、結果として報酬も得やすい。