韓非子 / 難一第三十六
且臣盡死力以與君市、君垂爵祿以與臣市。君臣之際、非父子之親也、計數之所出也。
新字:且臣尽死力以与君市、君垂爵禄以与臣市。君臣之際、非父子之親也、計数之所出也。
書き下し
且つ臣は死力を盡くして以て君と市し、君は爵祿を垂れて以て臣と市す。君臣の際は、父子の親しきに非ざるなり。計數の出づる所なり。
現代語訳
臣下は命懸けの働きを君主と取引し、君主は地位や報酬で臣下と取引する。君主と臣下の関係は、親子のような情愛ではなく、利害計算(計数)によって成り立つものだ。
解説
これは、『わが子を愛せない者が、主君を愛せるはずがない』という管仲の人情論に対する反論です。書き下し文にあるとおり、臣下は命がけの働きを主君に差し出し、主君はそれに地位や俸禄を与える、いわば取引の関係にあり、主君と臣下の間柄は親子のような情愛ではなく、損得の計算のうえに成り立っていると韓非は言い切ります。人情や恩義だけに頼った付き合いは、いざというとき当てにできません。たとえば近所付き合いや仕事の付き合いでも、『あの人には世話になったから』という情だけで判断を曇らせると、後で困ったことになりがちです。働きにはそれに見合う報い、頼みごとにはそれに見合う礼を、はっきりさせておく。情に流されない公平な物差しを持つことの大切さを説いた一節です。
この章句が説くこと
成果主義報酬インセンティブ公私混同の排除利害
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