論語 / 衛霊公篇
子曰:「君子貞而不諒。」
書き下し
子曰く、君子は貞にして諒ならず。
現代語訳
先生がおっしゃった。「君子は正しい筋を守るが、小さな信義に固執しない。」
解説
貞と諒の区別が主題である。貞は大きな筋を守ること、諒は言ったことを何が何でも守ること。憲問篇でも、名も無い者が小さな信義を守って死ぬことを孔子は評価しなかった。ここでも同じ立場が取られている。約束を守ることは大切だが、それが目的化すると判断を失う。実務ではこの区別が難しい。約束を守らない言い訳は、いくらでも作れるからだ。状況が変わった、前提が違った、と。だから多くの人は、約束は絶対に守るという単純な規則を採用する。単純なほうが運用しやすい。孔子はその単純さを退けた。守るべきは筋であって、言葉ではない。言葉と筋が食い違ったとき、どちらを取るかを自分で判断する。その判断から逃げないことが、貞ということである。
この章句が説くこと
貞諒信義判断固執
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