論語 / 先進篇
子曰:「回也,非助我者也!於吾言,無所不說。」
新字:子曰:「回也,非助我者也!於吾言,無所不説。」
書き下し
子曰く、回や、我を助くる者に非ざるなり。吾が言に於いて、説ばざる所無し。
現代語訳
先生がおっしゃった。「顔回は、私を助けてくれる者ではないな。私の言うことで、喜ばないことが一つも無い。」
解説
最愛の弟子への、愛情のこもった不満である。何を言っても喜んで受け入れる。反問も異論も来ない。だから自分は鍛えられない、と孔子は言う。教える側が弟子に何を求めていたかが、ここに出ている。理解ではなく、抵抗である。反論されて初めて、自分の考えの粗いところが見える。すべて受け入れられると、間違ったまま進んでしまう。上に立つ人ほど、この不足に苦しむ。地位が上がるほど反論は減り、減った分だけ自分の判断は検証されなくなる。周囲が優秀で従順であれば、なお危うい。孔子ほどの人でも、それを助けが無いと感じた。もし自分の発言に対して、誰も異を唱えなくなっているなら、それは正しくなったからではないという可能性を、常に置いておく必要がある。