論語 / 郷党篇
席不正不坐。
書き下し
席正しからざれば坐せず。
現代語訳
敷物がきちんと整っていなければ、座られなかった。
解説
わずか五字の記録である。曲がった敷物に座らない。それだけのことに、なぜ記録の価値があるのか。整えてから座るという順序を、例外なく守ったからである。急いでいるとき、疲れているとき、誰も見ていないとき。そういう場面で崩れないから、記録になる。ここには、小さな基準を持つことの意味が示されている。曲がった敷物に座っても、実害は無い。だから多くの人は座る。一度座れば、次はもっと曲がっていても座る。基準は、実害の無いところから緩み始める。逆に言えば、実害の無い小さな基準を守り続けることが、実害の大きい場面での判断を支える。仕事でも、机の上、書類の体裁、時間の守り方。どれも成果に直結しないが、崩れ方は連続している。