墨子 / 非儒下
孔丘窮於蔡陳之間,藜羮不糂。十日,子路為烹豚,孔丘不問肉之所由來而食。剝人衣以酤酒,孔丘不問酒之所由來而飲。哀公迎孔丘,席不端弗坐,割不正弗食。子路進,請曰:「何其與陳蔡反也?」孔丘曰:「來,吾語女。曩與女為茍義。」夫饑約則不辭妄取以活身,羸飽偽行以自飾。汙邪詐偽,孰大於此?
新字:孔丘窮於蔡陳之間,藜羹不糂。十日,子路為烹豚,孔丘不問肉之所由来而食。剥人衣以酤酒,孔丘不問酒之所由来而飲。哀公迎孔丘,席不端弗坐,割不正弗食。子路進,請曰:「何其与陳蔡反也?」孔丘曰:「来,吾語女。曩与女為苟義。」夫饑約則不辞妄取以活身,羸飽偽行以自飾。汚邪詐偽,孰大於此?
書き下し
孔丘、蔡陳の間に窮し、藜羮に糂せず。十日、子路、為に豚を烹る。孔丘、肉の由りて來たる所を問わずして食らう。人の衣を剝ぎて以て酒を酤う。孔丘、酒の由りて來たる所を問わずして飲む。哀公、孔丘を迎うるに、席、端しからざれば坐せず、割、正しからざれば食らわず。子路、進みて請いて曰く、「何ぞ其れ陳蔡と反するや」と。孔丘曰く、「來たれ、吾れ女に語らん。曩には女と苟くも義を為せり」と。夫れ饑約すれば則ち妄りに取りて以て身を活かすを辭せず、羸飽すれば偽行して以て自ら飾る。汙邪詐偽、孰れか此より大ならん。
現代語訳
孔丘が陳と蔡の間で行き詰まり、藜の汁に米も入らなかった。十日たって、子路が豚を煮て出した。孔丘は肉の出どころを問わずに食べた。人の衣を剝いで酒を買ってきた。孔丘は酒の出どころを問わずに飲んだ。のちに哀公が孔丘を迎えたとき、敷物がまっすぐでなければ座らず、切り方が正しくなければ食べなかった。子路が進み出て尋ねた。「陳蔡のときとまるで反対ではありませんか」。孔丘が言った。「来なさい、話してやろう。あのときはおまえと、ともかく生きるためにやったのだ」。飢えて困れば勝手に取ることも辞さずに身を生かし、満ち足りれば偽りの行いで自分を飾る。汚れた偽りで、これより大きなものがあろうか。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『墨子』法儀然らば則ち奚を以て治法を為して可ならんか。故に曰く、天に法るに若くは莫し、と。天の行いは廣くして私無く、其の施しは厚くして徳とせず、其の明るきは久しくして衰えず。故に聖王は之に法る。既に天を以て法と為さば、動作有為には、必ず天に度り、天の欲する所は則ち之を為し、天の欲せざる所は則ち止む。
-
『墨子』魯問魯陽文君、子墨子に語げて曰く、「楚の南に人を啖らう國なる者有り。其の國の長子生まるれば、則ち解きて之を食らう。之を宜弟と謂う。美なれば、則ち以て其の君に遺る。君、喜べば則ち其の父を賞す。豈に惡俗ならずや」と。子墨子曰く、「中國の俗と雖も、亦た猶お是のごときなり。其の父を殺して其の子を賞するは、何を以て其の子を食らいて其の父を賞する者に異ならんや。茍くも仁義を用いずんば、何を以て夷人の其の子を食らうを非とせんや」と。
-
論語・郷党篇席正しからざれば坐せず。
-
『墨子』非攻下是の故に子墨子曰く、今、且つ天下の王公大人・士君子、中情、將に天下の利を興し、天下の害を除かんことを求め欲せば、當に攻伐を繁く為すが若きは、此れ實に天下の巨害なり。今、仁義を為し、上士たるを求めんと欲し、上は聖王の道に中らんと欲し、下は國家百姓の利に中らんと欲せば、故に當に非攻の説の若きにして、將に察せざる可からざる者、此れなり。
-
『墨子』非儒下儒者曰く、「親を親しむに術有り、賢を尊ぶに等有り」と。親疎尊卑の異なるを言うなり。其の禮に曰く、「父母を䘮すること三年、其の後子も三年、伯父・叔父・弟兄・庶子は其れ、戚族の人は五月」と。若し親疏を以て嵗月の數と為さば、則ち親しき者は多くして疏き者は少なからん。是れ妻と後子と父と同じきなり。若し尊卑を以て嵗月の數と為さば、則ち是れ其の妻子を尊ぶこと父母と同じくして、伯父・宗兄を親しみて子を卑しむなり。逆、孰れか焉より大ならん。其の親、死すれば、户を列ねて屋に登らず、井を窺い、䑕穴を挑き、滌器を探りて、其の人を求む。以て實に在りと為さば、則ち戅愚甚だし。如し其れ亡くして、必ず求むれば、偽も亦た大なり。
-
『長短経』論士〔議に曰く、世の善悪は得て知り難し。苟くも其の人に非ざれば、其の際を見る莫し。何となれば、夫れ文章、武人の嗤う所と為るは、未だ必ずしも鄙ならざるなり。揚・馬の嗤う所と為らば、此れ真に鄙なり。夫れ人臣、桀・紂の毀る所と為るは、未だ必ずしも愚と為さざるなり。必ず堯・舜の毀る所の若くならば、此れ真に愚なり。世の毀誉は信ずるに足らざるなり。故に曰く「夜出でずんば、安くんぞ夜行の人有るを知らん」と。太公曰く「智、衆と同じきは人の師に非ず。伎、衆と同じきは国工に非ず」と。老子曰く「下士は道を聞けば、大いに之を笑う。笑わずんば、以て道と為すに足らず」と。故に曰く「凡人の賤しむ所は、聖人の貴ぶ所なり」と。信なるかな。〕

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る