論語 / 子罕篇
子曰:「麻冕,禮也;今也純,儉,吾從眾。拜下,禮也;今拜乎上,泰也。雖違眾,吾從下。」
新字:子曰:「麻冕,礼也;今也純,倹,吾従眾。拝下,礼也;今拝乎上,泰也。雖違眾,吾従下。」
書き下し
子曰く、麻冕は礼なり。今や純なるは倹なり。吾は衆に従わん。下に拝するは礼なり。今上に拝するは泰なり。衆に違うと雖も、吾は下に従わん。
現代語訳
先生がおっしゃった。「麻の冠が礼の定めである。今は絹を用いるが、そのほうが倹約になる。この点では、私は世間に従う。堂の下で拝礼するのが礼の定めである。今は堂の上で拝礼するが、それは傲慢である。世間と違っても、私は堂の下に従う。」
解説
同じ章で、孔子は世間に従い、また世間に逆らっている。基準は一貫している。変更が倹約に向かうなら受け入れ、傲慢に向かうなら拒む。慣習の変化そのものに賛成も反対もせず、変化の向きだけを見ているのである。伝統を守る人は、しばしばすべての変化に抗おうとする。革新を唱える人は、すべてを変えたがる。孔子はどちらでもない。変える理由が経済的な合理なら受け入れ、変える理由が自分を高く見せることなら断る。実務の慣行を見直すときの物差しとして、そのまま使える。この省略はコストを下げるためか、それとも面倒を避けて相手への敬意を削るためか。同じ簡略化でも、向きが違えば結論は逆になる。