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茶の本 / 第四章 茶室・古代建築の巨柱

茶室はただに西洋のいずれの建築物とも異なるのみならず、日本そのものの古代建築とも著しい対照をなしている。わが国古代の立派な建築物は宗教に関係あるものもないものも、その大きさだけから言っても侮りがたいものであった。数世紀の間不幸な火災を免れて来たわずかの建築物は、今なおその装飾の壮大華麗によって、人に畏敬の念をおこさせる力がある。直径二尺から三尺、高さ三十尺から四十尺の巨柱は、複雑な腕木の網状細工によって、斜めの瓦屋根の重みにうなっている巨大な梁をささえていた。建築の材料や方法は、火に対しては弱いけれども地震には強いということがわかった。そしてわが国の気候によく適していた。法隆寺の金堂や薬師寺の塔は木造建築の耐久性を示す注目すべき実例である。

書き下し

茶室はただに西洋のいずれの建築物とも異なるのみならず、日本そのものの古代建築とも著しい対照をなしている。わが国古代の立派な建築物は、宗教に関係あるものもないものも、その大きさだけから言っても侮りがたいものであった。数世紀の間不幸な火災を免れて来たわずかの建築物は、今なおその装飾の壮大華麗によって、人に畏敬の念をおこさせる力がある。直径二尺から三尺、高さ三十尺から四十尺の巨柱は、複雑な腕木の網状細工によって、斜めの瓦屋根の重みにうなっている巨大な梁をささえていた。建築の材料や方法は、火に対しては弱いけれども地震には強いということがわかった。そしてわが国の気候によく適していた。法隆寺の金堂や薬師寺の塔は、木造建築の耐久性を示す注目すべき実例である。

現代語訳

茶室は西洋のどの建築物とも異なるだけでなく、日本自身の古代建築とも著しい対照をなしています。わが国古代の立派な建築物は、宗教に関わるものもないものも、その大きさだけから言っても軽んじられないものでした。数世紀の間不幸な火災を免れてきたわずかの建築物は、今もなおその装飾の壮大華麗さによって、人に畏敬の念を起こさせる力があります。直径二尺から三尺、高さ三十尺から四十尺の巨大な柱は、複雑な腕木の網目状の細工によって、傾いた瓦屋根の重みにうなっている巨大な梁を支えていました。建築の材料や方法は、火に弱いけれども地震に強いと分かった。そしてわが国の気候によく適していました。法隆寺の金堂や薬師寺の塔は、木造建築の耐久性を示す注目すべき実例です。

解説

茶室の簡素さが、西洋との対比だけでなく自国の古代建築との対比でも際立つことが示されます。つまり簡素は日本の伝統ではなく、後から選ばれた様式なのです。そして木造が火に弱く地震に強いという指摘。材料の選択が気候と地質への適応だったという実務的な説明で、木と竹を建築と認めない前段の目に対する反論にもなっています。

この章句が説くこと

建築伝統対比材料適応

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