論語 / 雍也篇
子曰:「誰能出不由戶?何莫由斯道也!」
新字:子曰:「誰能出不由戸?何莫由斯道也!」
書き下し
子曰く、誰か能く出づるに戸に由らざらん。何ぞ斯の道に由ること莫きや。
現代語訳
先生がおっしゃった。「部屋を出るのに、戸口を通らない者がどこにいるか。それなのになぜ、人はこの道を通ろうとしないのか。」
解説
たとえが極端に平易なぶん、嘆きが強く響く。家を出るなら戸口を通る。誰も壁を抜けようとはしない。当たり前すぎて意識もしない。ところが生き方の話になると、人は道を通らずに目的地へ行こうとする、と孔子は言う。正しい手順を踏まずに結果だけを取りに行く姿は、壁を抜けようとする人に見えている。実務でも似た光景は日常的だ。信頼を築かずに大きな取引をまとめようとし、基礎を積まずに応用を求め、下地のない組織に高度な制度を入れる。どれも戸口を通らない試みである。孔子が不思議がっているのは、その難しさに人が気づかないことだ。壁を抜けられなかったとき、人は自分の力不足を嘆く。だが問題は力ではなく、入口を探さなかったことにある。
この章句が説くこと
道手順近道基礎当たり前
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