論語 / 八佾篇
儀封人請見,曰:「君子之至於斯也,吾未嘗不得見也。」從者見之。出曰:「二三子,何患於喪乎?天下之無道也久矣,天將以夫子爲木鐸。」
新字:儀封人請見,曰:「君子之至於斯也,吾未嘗不得見也。」従者見之。出曰:「二三子,何患於喪乎?天下之無道也久矣,天将以夫子為木鐸。」
書き下し
儀の封人見えんことを請いて曰く、「君子の斯に至るや、吾未だ嘗て見ゆることを得ずんばあらざるなり。」従者之を見えしむ。出でて曰く、「二三子、何ぞ喪うことを患えんや。天下の道無きや久し、天将に夫子を以て木鐸と為さんとす。」
現代語訳
儀の国境を守る役人が面会を願い出て言った。「立派な方がここを通られたときには、私はお会いできなかったためしがありません。」門人たちが取り次いだ。役人は退出して言った。「みなさん、先生が位を失ったことを嘆く必要がどこにありましょう。天下に道が行われなくなって久しい。天は今、先生を世を目覚めさせる木鐸になさろうとしているのです。」
解説
無名の国境役人が、弟子たちよりも先に孔子の役割を言い当てた場面である。当時の孔子は職を失い、諸国を流浪していた。弟子たちはそれを失敗と見ていたが、役人は「位を失ったからこそ、世に警鐘を鳴らす役が回ってきた」と読んだ。木鐸とは、法令を触れ回るときに鳴らした木の舌の鈴である。ここには、経歴の断絶をどう解釈するかという普遍的な問題がある。地位から外れた期間は、履歴書の上では空白に見える。だが、内側にいた頃には言えなかったことが言えるようになる期間でもある。役割は肩書きから来るのではない。何を語れる位置にいるかから来る。