驢鞍橋 / 卷下
或人語て曰く、この前、師と同道して道を行くに、折節路次惡くすへる處有りければ、師の曰く、すへり道は氣ぬけす好き物也。其方達を常住すへり道に立て置き度と也。
新字:或人語て曰く、この前、師と同道して道を行くに、折節路次悪くすへる処有りければ、師の曰く、すへり道は気ぬけす好き物也。其方達を常住すへり道に立て置き度と也。
書き下し
或人語て曰く、この前、師と同道して道を行くに、折節路次悪くすへる処有りければ、師の曰く、すへり道は気ぬけす好き物也。其方達を常住すへり道に立て置き度と也。
現代語訳
ある人が語って言った。以前、師と連れ立って道を行ったとき、ちょうど道が悪く滑る所があったので、師が言われた。滑る道は気が抜けなくて良いものだ。あなたたちを、いつも滑る道に立たせておきたい、と。
解説
ぬかるんで滑りやすい道を歩きながら、正三は、滑る道は気が抜けなくて良い、お前たちをいつも滑る道に立たせておきたい、と言う。平坦で歩きやすい道では、人は気を抜いてしまう。足元が危ういからこそ、一歩一歩に注意が行き届く。困難な環境や緊張感のある状況は、心の張りを保つための良い道場になる。安定を求めがちな人に、不安定さの価値を気づかせる、ユーモアを含んだ一言である。
この章句が説くこと
緊張感困難足元安定心の張りユーモア
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