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驢鞍橋 / 卷下

又曰く、總而佛道と云ふは、聞て用に立つことに非ず、功を積で德に至ること也。我念佛の申樣を五段に立て、是れを能く心得て念佛申しに成りめされよと云つて、五種の念佛を具に示し給ふ。又曰く、觀念なりと用ひめさるべし。一切有爲法。如夢幻泡影。如露亦如電と觀せよと說き給ふ也。此の心は一切世の中にあらゆることは、皆夢幻泡影露電の如くにて、一つも實なしと觀せよとのこと也。誠に實なき露の身哉、只消えぬ間の樂也と有りければ、彼の醫者大に信受して去りぬ。

新字:又曰く、総而仏道と云ふは、聞て用に立つことに非ず、功を積で徳に至ること也。我念仏の申様を五段に立て、是れを能く心得て念仏申しに成りめされよと云つて、五種の念仏を具に示し給ふ。又曰く、観念なりと用ひめさるべし。一切有為法。如夢幻泡影。如露亦如電と観せよと説き給ふ也。此の心は一切世の中にあらゆることは、皆夢幻泡影露電の如くにて、一つも実なしと観せよとのこと也。誠に実なき露の身哉、只消えぬ間の楽也と有りければ、彼の医者大に信受して去りぬ。

書き下し

又曰く、総而仏道と云ふは、聞て用に立つことに非ず、功を積で徳に至ること也。我念仏の申様を五段に立て、是れを能く心得て念仏申しに成りめされよと云つて、五種の念仏を具に示し給ふ。又曰く、観念なりと用ひめさるべし。一切有為法。如夢幻泡影。如露亦如電と観せよと説き給ふ也。此の心は一切世の中にあらゆることは、皆夢幻泡影露電の如くにて、一つも実なしと観せよとのこと也。誠に実なき露の身哉、只消えぬ間の楽也と有りければ、彼の医者大に信受して去りぬ。

現代語訳

また言われた。おおよそ仏道というのは、聞いて役に立つことではない。功を積んで徳に至ることである。私は念仏の申し方を五段に立てた。これをよく心得て念仏申す人になりなさい、と言って、五種の念仏を詳しく示された。また言われた。観念でも用いられるがよい。一切の有為の法は、夢・幻・泡・影のごとく、露のごとく、また電のごとし、と観ぜよ、と説かれている。この心は、世の中のあらゆることは、みな夢、幻、泡、影、露、稲妻のようで、一つも実体はないと観ぜよ、ということである。まことに実のない露の身だな、ただ消えない間の楽しみである、とあったので、その医者は大いに信じ受けて去った。

解説

仏道は聞いて役立てるものではなく、功を積み重ねて徳に至るものだ、と正三は言い、五種の念仏を示す。さらに金剛経の、あらゆるものは夢や幻、泡や影、露や稲妻のようだと観じよ、という句を教える。実体のない露のような身だからこそ、消えないうちの今を大切にせよ、と。忙しい医者に、知識ではなく日々の実践を積むこと、そして命のはかなさを見つめることを勧めた。

この章句が説くこと

功を積む金剛経夢幻泡影無常念仏実践

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