驢鞍橋 / 卷下
一日、去る病者に向て曰く、病は好き菩提の種也。然れとも只好く成りたいと計り思つて、只在て果すらんと也。
書き下し
一日、去る病者に向て曰く、病は好き菩提の種也。然れとも只好く成りたいと計り思つて、只在て果すらんと也。
現代語訳
ある日、ある病人に向かって言われた。病は良い菩提の種である。けれども、ただ良くなりたいとばかり思って、ただそのまま過ごして終わるのだろう、と。
解説
病気は悟りへの良い種になる、と正三は病人に言う。死や身体の苦しみに正面から向き合う機会になるからである。けれども多くの人は、ただ早く治りたいとばかり思って、その機会を生かさないまま過ごしてしまう、と。病気や困難を、ただ過ぎ去るのを待つだけでなく、自分の生き方を見つめ直す契機にできるか。短い言葉で、苦しみの時間の意味を問い直させる条である。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
病菩提困難契機苦しみ見つめ直す
関連する章句
-
易経・屯卦周易 第三卦。震下坎上。易経。屯は、元いに亨る、貞しきに利ろし。用て往く攸有る勿かれ、侯を建つるに利ろし。初九、磐桓す、貞に居るに利ろし、侯を建つるに利ろし。六二、屯如たり邅如たり、馬に乗りて班如たり。寇するに匪ず婚媾せんとす。女子貞にして字せず、十年にして乃ち字す。六三、鹿に即くに虞无し、惟林中に入る。君子幾をみて舎つるに如かず、往けば吝。六四、馬に乗りて班如たり、婚媾を求む。往けば吉にして利ろしからざる无し。九五、其の膏を屯す。小貞なれば吉、大貞なれば凶。上六、馬に乗りて班如たり、泣血漣如たり。彖に曰く、
-
言志四録・南洲手抄胸次清快なれば、則ち人事百艱亦阻せず。
-
易経・蹇卦周易 第三十九卦。艮下坎上。易経。蹇(けん)は、西南に利あり、東北に利あらず。大人を見るに利あり、貞にして吉。初六、往けば蹇(なや)み、来れば誉れあり。六二、王臣蹇蹇(けんけん)たり、躬(み)の故に匪ず。九三、往けば蹇み来れば反(かへ)る。六四、往けば蹇み来れば連なる。九五、大いに蹇みて朋来る。上六、往けば蹇み来れば碩(おほ)いなり、吉。大人を見るに利あり。彖に曰く、
-
葉隠・聞書第二「水増されば船高し。」ということあり。器量者(きりょうもの)又は我が得方(えかた)の事は、むつかしき事に出会うほど、一段すすむ心になるなり。迷惑がるとは、いかい違いぞとなり。
-
『驢鞍橋』卷下或人語て曰く、この前、師と同道して道を行くに、折節路次悪くすへる処有りければ、師の曰く、すへり道は気ぬけす好き物也。其方達を常住すへり道に立て置き度と也。
-
孫子・謀攻篇櫓轒轀を修め、器械を具うるに、三月にして後に成る。距闉するに、又三月にして後に已む。