驢鞍橋 / 卷上
或る人來り去る貧僧の處に大分の金を借用に來る人有りと語る。師聞て云、總して人は考なき物也。金銀は我乏き物と知らば、餘所も然るべしと知るべきに、左は無くして只餘所の金をば、石か土かなとを取來るやうに思ふ物也。
新字:或る人来り去る貧僧の処に大分の金を借用に来る人有りと語る。師聞て云、総して人は考なき物也。金銀は我乏き物と知らば、余所も然るべしと知るべきに、左は無くして只余所の金をば、石か土かなとを取来るやうに思ふ物也。
書き下し
或る人来り去る貧僧の処に大分の金を借用に来る人有りと語る。師聞て云、総して人は考なき物也。金銀は我乏き物と知らば、余所も然るべしと知るべきに、左は無くして只余所の金をば、石か土かなとを取来るやうに思ふ物也。
現代語訳
ある人が来て、ある貧しい僧のところに大金を借りに来る人がいる、と語った。師は聞いて言われた。おおよそ人は考えのないものだ。金銀は自分に乏しいものだと知っているなら、よそも同じだと知るべきなのに、そうではなくて、ただよその金を、石か土でも取ってくるように思うものだ、と。
解説
貧しい僧のところに大金を借りに来る人の話を聞いて、正三は、人は考えがないものだと言う。自分にとってお金が乏しく貴重なら、他人にとっても同じだと分かるはずなのに、他人のお金は石や土のように簡単に手に入ると思っている、と。他人の資源や労力を軽く見る心理を、的確に言い当てている。取引先や部下の時間、他部署の予算を気軽に求めていないか、自分の身に置き換えて考えさせる条である。
この章句が説くこと
お金想像力相手の立場借金資源配慮
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