驢鞍橋 / 卷上
一日示して曰く、今時の修行者は、常住魔に司られて居るつれ計り也。何れも强く自己を守つて生死の魔を防ぐべし。古人も如菩薩疑生死魔得便といへり。時に一僧問、何者か是れ生死の魔なりや。師答て曰、心生する便ち是れ生死の魔也。
書き下し
一日示して曰く、今時の修行者は、常住魔に司られて居るつれ計り也。何れも强く自己を守つて生死の魔を防ぐべし。古人も如菩薩疑生死魔得便といへり。時に一僧問、何者か是れ生死の魔なりや。師答て曰、心生する便ち是れ生死の魔也。
現代語訳
ある日示して言われた。今の修行者は、常に魔に支配されている類ばかりである。誰もが強く自己を守って、生死の魔を防ぎなさい。古人も、菩薩でも生死を疑えば、魔がその隙を得る、と言った。そのとき一人の僧が尋ねた。何が生死の魔でしょうか。師は答えて言われた。心が生じることが、すなわち生死の魔である、と。
解説
修行者は常に魔に支配されている、自己を守って生死の魔を防げ、と正三は言う。生死の魔とは何かと問われて、心が生じることこそが魔だ、と答える。外から来る悪魔ではなく、自分の中に次々と湧いてくる思いこそが、迷いの根本だという。この短い問答は、外に敵を探しがちな私たちに、自分の心の動きそのものを見張る必要を気づかせる。条番号百三十九は底本に見当たらない。
この章句が説くこと
生死の魔自己を守る心迷い問答修行
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