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驢鞍橋 / 卷上

然れとも如何にしても代り法門の筋無き事を佛法とし、我宗正傳の佛祖の語錄を法度と有る事は餘り非道の事に候間、申上ぐる儀也。奧意は此次でに、三百年以來錯り來る所の佛法を御下知に依り、正法に復さんとの所存也。是れは餘り笑止千萬の躰に御坐候。佛も國王大臣有力の檀那に付屬すと申し置かれたり。然る間諸宗を集め、聞手を立て、佛法の意趣を御吟味被遊、正理たるべき樣に仰付奉賴と云ふへき也。

新字:然れとも如何にしても代り法門の筋無き事を仏法とし、我宗正伝の仏祖の語録を法度と有る事は余り非道の事に候間、申上ぐる儀也。奥意は此次でに、三百年以来錯り来る所の仏法を御下知に依り、正法に復さんとの所存也。是れは余り笑止千万の体に御坐候。仏も国王大臣有力の檀那に付属すと申し置かれたり。然る間諸宗を集め、聞手を立て、仏法の意趣を御吟味被遊、正理たるべき様に仰付奉頼と云ふへき也。

書き下し

然れとも如何にしても代り法門の筋無き事を仏法とし、我宗正伝の仏祖の語録を法度と有る事は余り非道の事に候間、申上ぐる儀也。奥意は此次でに、三百年以来錯り来る所の仏法を御下知に依り、正法に復さんとの所存也。是れは余り笑止千万の体に御坐候。仏も国王大臣有力の檀那に付属すと申し置かれたり。然る間諸宗を集め、聞手を立て、仏法の意趣を御吟味被遊、正理たるべき様に仰付奉頼と云ふへき也。

現代語訳

けれども、どうしても代わり法門(公案の答えを伝授する安易なやり方)の筋もないことを仏法とし、わが宗が正しく伝えてきた仏祖の語録を禁じるというのは、あまりに道にはずれたことですので、申し上げるのです。奥の意図は、この機会に、三百年来誤ってきた仏法を、ご命令によって正法に戻したいという所存です。これはまことに気の毒千万なありさまでございます。仏も、国王や大臣、力のある檀那に仏法を付属すると申し置かれました。そこで諸宗を集め、聞き手を立てて、仏法の趣旨をご吟味くださり、正しい道理になるようにお命じいただきたいと、申し上げるべきである。

解説

答弁の続きで、正三は、本寺が学問を禁じながら、公案の答えを口伝で渡す代わり法門を仏法としていることこそ非道だ、と核心を突く。そして、この訴訟を、三百年来の仏教の誤りを正す機会にしたいと述べる。個別の争いを、全体の改革につなげる視点である。この段は底本で頭注(檀那の語釈)が本文の行に割り込んでいたので、注を取り除いて読んだ。目の前の対立を、根本の問題を正す機会に変える構想力を示している。

この章句が説くこと

改革代わり法門公儀吟味構想力正法

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