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驢鞍橋 / 卷上

夜話に曰く、世中の人の中に、でかうたらぬ世間下手な者多く有らんずと思ふが、皆大形にして世を渡る事不思議也。是れは偏に若輩より世間を仕馴れたる故なるへし。我も世間の下手な事は、大略一番通りなるべきが、若き時より仕馴れたる故か佛法の事は、誰がをもしやるを聞いても、もどかはしきと也。

新字:夜話に曰く、世中の人の中に、でかうたらぬ世間下手な者多く有らんずと思ふが、皆大形にして世を渡る事不思議也。是れは偏に若輩より世間を仕馴れたる故なるへし。我も世間の下手な事は、大略一番通りなるべきが、若き時より仕馴れたる故か仏法の事は、誰がをもしやるを聞いても、もどかはしきと也。

書き下し

夜話に曰く、世中の人の中に、でかうたらぬ世間下手な者多く有らんずと思ふが、皆大形にして世を渡る事不思議也。是れは偏に若輩より世間を仕馴れたる故なるへし。我も世間の下手な事は、大略一番通りなるべきが、若き時より仕馴れたる故か仏法の事は、誰がをもしやるを聞いても、もどかはしきと也。

現代語訳

夜話で言われた。世の中の人の中には、ひどく足りない、世渡りの下手な者が多くいるだろうと思うが、みなおおよそ世を渡っているのは不思議である。これはひとえに、若いときから世間のことをし慣れているからだろう。私も世渡りの下手なことは、おおよそ一番の部類だろうが、若いときからし慣れているせいか、仏法のことは、誰がやるのを聞いても、もどかしく感じる、と。

解説

世渡りの下手な人も、なんとか世を渡っているのは、若い頃から世間のことをし慣れているからだ、と正三は言う。そして自分は世渡りは下手だが、若い頃から仏法をし慣れてきたので、他人の仏法を聞くともどかしい、と。どんな分野でも、長くし慣れたことは自然と身につき、他人のやり方の甘さも見えるようになる。得意不得意を生まれつきと考えるより、何に慣れ親しんできたかで決まる、という見方を示している。

この章句が説くこと

習熟慣れ世渡り経験得意仏法

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