李衛公問対 / 卷下
謂敵未可勝,則我且自守;待敵可勝,則攻之爾;非以強弱為辭也。
新字:謂敵未可勝,則我且自守;待敵可勝,則攻之爾;非以強弱為辞也。
書き下し
敵未だ勝つべからずと謂わば、則ち我は且く自守せん。敵の勝つべきを待ちて、則ち之を攻むるのみ。強弱を以て辭と為すに非ざるなり。
現代語訳
敵にまだ勝てる見込みがないと判断すれば、まずは自分の守りを固める。敵に勝てる好機が訪れるのを待って、そこで初めて攻める。強いか弱いかを理由にして攻守を決めるのではない。
解説
攻めるか守るかを決めるのは、自分と相手の強さの比較ではなく、勝てる見込みがあるかどうかだという判断基準を示している。力があるからといって無理に攻める必要はなく、力が劣っていても好機を待って動けば道は開ける。仕事の場面でも、実力の優劣にこだわって動くか控えるかを決めるより、状況が整っているかどうかで判断した方が的確な行動につながる。焦って動く前に、今が動くべき時かを見極める視点が要る。
この章句が説くこと
好機攻守判断基準
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孫子・行軍篇敵近くして静かなる者は、その険を恃むなり。遠くして戦いを挑む者は、人の進むを欲するなり。
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葉隠・聞書第十一始勝後戦(しかつこうせん)は彙勝(いしょう)の二字、味方五百の勢を以て十万の敵に勝つ 軍法聞書(ぐんぽうききがき)の内、始勝後戦は彙勝の二字に極(きわ)まる。治世の智謀は乱世の武備、味方五百の勢を以て十万の敵に勝つ事。口伝(くでん)。敵城へ押寄(おしよ)する人数上(のぼ)り候時は、元の道を退(しりぞ)かず、脇道を通るべき事。口伝。味方の手負(ておい)死人は、敵方へ頭を向けてウツブシに置くべき事。口伝。敵陣へ押寄せ候時、木蔭(こかげ)などを見立て、あの土手橋より何間(なんげん)程だと、能(よ)く目印をして通るべし。さて、味方退き候時、件(くだん)の木蔭などに立寄り人数を通し、殿(しんが)りをすべし。上る勢に向つて、「某(それがし)、殿りをするなり、同志の人は留(とど)まり給へ。」と、一々言葉を掛くべし。口伝。尤(もっと)も武士の心掛、懸かる時は真先(まっさき)、退く時は後になるべし。懸かるに待つを忘れず、待つに懸かるを忘るべからず。