李衛公問対 / 卷下
分不分,為縻軍;聚不聚,為孤旅。
書き下し
分かつべくして分たざるは、縻軍と為る。聚まるべくして聚まらざるは、孤旅と為る。
現代語訳
分散すべき時に分散できなければ、身動きの取れない軍隊になる。集結すべき時に集結できなければ、孤立した部隊になる。
解説
状況に応じた判断のタイミングを見誤ることの危うさを説いている。分けるべき場面で一つにまとまったままでは身動きが取れず、まとまるべき場面でばらばらのままでは孤立して弱くなる。仕事の役割分担でも、力を集中すべき時に個々がばらばらに動いていたり、逆に個別に動くべき時に足並みを揃えようとしすぎたりすれば、どちらも本来の力を発揮できない。今の状況が分散と集結のどちらを求めているかを見極める視点が要る。
この章句が説くこと
分散集結判断
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孫子・虚実篇故に人に形せしめて我に形無ければ、則ち我は専まりて敵は分かる。我専まりて一と為り、敵分かれて十と為らば、是れ十を以て其の一を攻むるなり。則ち我は衆くして敵は寡なし。能く衆を以て寡を撃つ者は、則ち吾の与に戦う所の者、約なり。
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孫子・虚実篇故に前に備うれば則ち後寡なく、後に備うれば則ち前寡なし。左に備うれば則ち右寡なく、右に備うれば則ち左寡なし。備えざる所無ければ、則ち寡なからざる所無し。寡なき者は人に備うる者なり、衆き者は人をして己に備えしむる者なり。
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孫子・虚実篇吾の与に戦う所の地知るべからざれば、知るべからざれば則ち敵の備うる所の者多く、敵の備うる所の者多ければ、則ち吾の与に戦う所の者寡なし。
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『塩鉄論』地廣篇文學曰く、秦の兵を用うるは、極まれりと謂うべし、蒙恬の境を斥くは、遠しと謂うべし。今蒙恬の塞を踰え、郡縣を寇虜の地に立つ、地いよいよ遠くして民ますます勞す。朔方以西、長安以北、新郡の功、外城の費は、勝げて計うべからず。特り是のみに非ざるなり、司馬・唐蒙は西南夷の塗を鑿ち、巴・蜀は邛・筰に弊る、橫海は南夷を征し、樓船は東越を戍る、荊・楚は甌・駱に罷る、左將は朝鮮を伐ち、臨屯を開く、燕・齊は穢貉に困しむ、張騫は殊遠に通じ、無用を納る、府庫の藏は、外國に流る、特り鬥辟の費、造陽の役のみに非ざるなり。此に由りて之を觀るに、人主の用心に非ず、好事の臣の縣官の為に計を過てるなり。
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『宋名臣言行録』前集巻六・宋庠元昊反す。劉平・石元孫、皆な輕きを以て軍を失う。時に諸帥の官の重き者、互いに陜西四路を領す。號令頗る一ならず。又た兵多く堡障に分屯す。公言う、宜しく大帥をして重兵を内地に收めしめ、他帥は自ら一道に當たり、緩急、警有らば則ち兵を分かちて四出して以て之を援くべしと。其の議乆しく決せず。後、卒に公の計の如し。
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孫子・地形篇卒を視ること嬰児の如し、故に之と深谿に赴くべし。卒を視ること愛子の如し、故に之と俱に死すべし。厚くして使う能わず、愛して令する能わず、乱れて治むる能わざれば、譬えば驕子の若く、用うべからざるなり。