李衛公問対 / 卷中
古人善用兵者,教正不教奇,驅眾若驅羣羊,與之進,與之退,不知所之也。
新字:古人善用兵者,教正不教奇,駆眾若駆羣羊,与之進,与之退,不知所之也。
書き下し
古人の兵を善く用うる者は、正を教えて奇を教えず、衆を駆ること群羊を駆るが若く、之と与に進み、之と与に退き、之く所を知らざるなり。
現代語訳
昔の用兵に巧みな者は、基本の型だけを教えて奇の変化までは教えなかった。大勢を率いることは、羊の群れを追うようなもので、共に進み、共に退かせても、兵士たちは自分がどこへ向かっているのかを意識すらしない。
解説
部下には基本だけを徹底させ、判断の全体像を委ねなかったという古人の指揮法を李靖は好意的に語る。羊の群れのたとえは、細かい指示なしに自然と共に動く信頼関係を表している。職場でも、進むべき方向さえ明確であれば、いちいち理由を説明しなくても人はついてくる場面がある。ただしそれが成り立つのは、導く側が日頃から築いてきた信頼があってこそであり、指示の少なさは手抜きではなく熟練の証でもある。
この章句が説くこと
信頼指揮自然な統率
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