李衛公問対 / 卷上
凡將,正而無奇,則守將也;奇而無正,則鬬將也;奇正皆得,國之輔也。
新字:凡将,正而無奇,則守将也;奇而無正,則闘将也;奇正皆得,国之輔也。
書き下し
凡そ将は、正にして奇無ければ、則ち守将なり。奇にして正無ければ、則ち闘将なり。奇正皆な得れば、国の輔なり。
現代語訳
およそ将というものは、正の型ばかりで奇の変化を持たなければ、守りに徹する将にとどまる。奇の変化ばかりで正の型を持たなければ、ただ勇んで戦うだけの将にとどまる。正と奇の両方を身につけていれば、国を支える柱となる人物である。
解説
李靖は将を三つの型に分け、原則を守るだけの人、変化に頼るだけの人、その両方を使いこなせる人とに整理する。堅実だが融通が利かない人と、機転は利くが軸を欠く人は、それぞれ違う理由で頼りきれないという見立てである。仕事の現場でも、決まった手順を守ることと、状況に応じて崩すことの両方ができて初めて、周囲から本当に頼られる存在になる。自分がどちらか一方に偏っていないか、振り返る材料になる一節である。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
守将闘将両立
関連する章句
-
李衛公問対・卷上凡そ兵は前向を以て正と為し、後却を以て奇と為す。
-
李衛公問対・卷上兵を善く用うる者は、正ならざる無く、奇ならざる無く、敵をして測ること莫からしむ。故に正も亦た勝ち、奇も亦た勝つ。三軍の士は、止だ其の勝つを知るのみにて、其の勝つ所以を知る莫し。変じて能く通ずるに非ざれば、安んぞ能く是に至らんや。
-
李衛公問対・卷上斯れ之を得たり。安んぞ素より之を分かつこと有らんや。若し士卒未だ吾が法に習はず、偏裨(へんぴ)未だ吾が令に熟せずんば、則ち必ず之が為に二術とす。戦ひを教ふる時、各々旗鼓を認め、迭ひに相分合す。故に曰く、分合を変と為すと。此れ戦ひを教ふるの術のみ。教閲既に成り、衆吾が法を知りて、然る後に群羊を駆るが如く、将の指す所に由らしむ。孰(たれ)か奇正の別を分かたんや。
-
李衛公問対・卷上兵を善くする者は、奇正は人に在るのみ。変じて之を神にするは、天に推す所以なり。
-
李衛公問対・卷上戦勢は、奇正に過ぎず、奇正の変は、勝げて窮む可からず。奇正相生ずること、循環の端無きが如し、孰か能く之を窮めんや。
-
李衛公問対・卷上此れ之を君に受くる者なり。又曰く、『兵は予め言はず、君命も受けざる所有り』と。此れ将の自ら出だす所の者なり。