李衛公問対 / 卷上
孫武所謂『形人而我無形』,此乃奇正之極致。
書き下し
孫武の謂う所の『人を形せしめて我は形無し』とは、此れ乃ち奇正の極致なり。
現代語訳
孫武が言うところの「相手には態勢を露わにさせながら、自分は態勢を隠し通す」ということこそ、正と奇を使いこなす極意である。
解説
孫子の名句「形人而我無形」を引き、李靖は情報戦の本質を語る。相手の意図や手の内を見抜きながら自分の狙いは悟らせない、その非対称こそが奇正を使いこなす頂点だという指摘である。交渉や競争の場でも、自分の予定や弱みを先に見せてしまえば、相手に主導権を渡すことになる。逆に相手の動きをよく観察し自分は多くを語らずにいるだけで、選べる手の数は自然と増えていく。
この章句が説くこと
形人無形情報戦主導権